清く正しくあろうとするから、物事の本質が見えなくなるんだ。【アンチヒーロー編】

アンチヒーロー

僕には、生理的に受け付けられない人種がいる。
それは「自分の正義を周りに押し付けるタイプの人間」だ。

 

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 ものごとの本質が見える場所

己の中にある正義を貫き通すのは、結構なことだ。

自分の中に確固たる信念を持ち、いかなる時も揺るがない。
周りの声に惑わされることなく、自分の信じた道を進み続ける。

これは、人生において何かを成し遂げるためには必ずと言っていいほど必要なことだ。

しかし自分の中にある正義は、あくまで自分だけのものであって、他人の中にも自分と同じ正義があるとは限らない。
人には人の正義がある。
人それぞれ信念は違う。
人それぞれ違う人生を生きているのだから、それは当然のことだ。

だから僕らは誰一人として、この世界における”絶対的な正義”の定義を決めることは出来ない。
僕らは神ではない。僕らが決めることの出来る正義の範囲は、あくまで”自分の人生”という限られた世界の中におけるもの。

正義について他人と議論することは出来ても、自分の正義を他人に強制するのは明らかに間違っている。

 

話はそれてしまうが、これは常識や価値観、または道徳や倫理観でも同じことが言える。
常識や価値観について他人と議論はしても、自分の常識や価値観を他人に押し付けたり強要したりするのも同じく間違いだ。
だって僕らは神でもなければ悪魔でもない、ただの人間なのだから。他人の常識や価値観を勝手に決めてしまう権限など、ただの人間である僕らには無い。

 

ところでよく、人間の本性とは本来「善」であるとか「悪」であるとか、昔から意見がよく分かれる。いわゆる「性善説・性悪説」だ。
あなた自身、本来の人間は善悪どちらだと思う?

残念ながら、どちらでもない。
人間は善でも、悪でもない。

そもそも僕らが議論する”善”や”悪”という概念は、人間の都合で勝手に決めたもの。
社会生活を送るうえで守った方が都合が良いものを”善”、逆に守られなければ不都合なことが起こってしまうことを”悪”と、昔の人間が勝手に定義したに過ぎない。

善や悪といったものは、時代や地域・場所・文化・置かれた立場、またはその時の影響力を持つ人間の発言等によっても変わるものであり、本来自然界には善や悪といった概念すら存在しない。
強いて言えば僕ら人間は、神でもなければ悪でもない、どこまで行ってもグレーな存在といえる。

そう、僕らはどんなに頑張っても、完全な善にも完全な悪にもなれない。
僕ら人間は、いつどんな時でも常にグレーな存在であり、絶対不変の善悪などというものも存在しない。

 

もしあなたが「自分はいついかなる時も正しい」と思っているとしたら、残念ながらそれは単なる思い込みだ。
そしてそれは悪に関しても同じ。
「自分はいつも間違いを犯す、ダメな存在だ」と思っているのなら、それも同じく単なる思い込みでしかない。

そして実はそうやって善や悪に偏れば偏るほど、比例して視野は狭まり、思考の幅は狭くなっていく。善に偏れば偏るほど、その反対の悪を認められなくなるからだ。

例えば極端に善に偏ってしまった人は、少しでも善ではないものが混じっていると感じると拒否反応を示すようになり、純粋な善だけで出来ている(と思い込んでる)ほんの一部の人間しか受け入れられなくなる。
つまり善・悪どちらか一方に偏れば偏るほど、それだけ多くの人を理解することが出来なくなっていくということ。

ということは、より広い視野でより幅広くものごとを捉えられる人とは、どんな人か?
それはもうお分かりだと思うが、善と悪の間にあるグレーゾーン、そのグレーゾーンの中のさらにど真ん中にいる人間だ。

僕らは神でも悪魔でもない。
完全な善にもなれないし、完全な悪にもなれない。僕もあなたも、そして世界中の人間がそうだ。

僕らは正しくもあり、間違ってもいる。
そして僕らが正しいと思っていることが明日には間違ったことになるかもしれないし、これまで間違いだと言われていたことが明日には正しいことだったと証明されるかもしれない。

自分の中の思い込みを外せ。
「自分は清く正しい人間だ」
「自分は卑怯で薄汚れた汚い人間だ」
そういった自分に対する、極端で偏った捉え方を外すんだ。

自分自身が善でもなく悪でもなく、グレーな存在だと自身を捉えることが出来るようになると、あなたの視野は一気に開ける。
あなた自身の持つ思考の枠が、グンと広がり始めていくだろう。
僕らは神でも悪魔でもないし、そんな者になる必要もない。
清濁併せ呑むんだ。
この世界の見え方が、きっと変わる。

 

どんな時も判断を誤らないのは、正義感に凝り固まった人間ではなく、または悪意に染まり切った人間でもなく、清濁併せ呑むことの出来る人間。

いいか。
常にグレーゾーンのど真ん中に身を置け。
そこが一番、ものごとの本質が見える場所だ。

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