僕は長年、人間関係でずいぶんと頭を悩ませてきました。自分に自信が無く、いつも周りの人間の顔色を伺ってばかりいました。何事も自分では決断せず、常に周りの人間の意見や言葉・行動を見てからそれに合わせて自分の行動を決める、そんな生き方をしてきました。
自分の意見や考えは決して表には出さない、常に周りの誰かと同じ意見、昔の僕はまさに自分の人生ではなく他人の人生を生きていました。
「人間関係を上手くやっていくには、他人と同調し、個性は出さず自己主張などしないこと」
自分の思いや気持ちはスルーして、他人の機嫌ばかり気にしていたのです。
でも当時の僕は、こうすることで人間関係が上手くいく、そう思い込んでいました。そして僕は他人の言葉や行動や機嫌によって感情を揺さぶられ続け、自分を見失っていったのです。
人間関係を良くしていこうとすると、つい周りの人たちとどう付き合っていくか、ということばかり考えてしまいますが、その前に必ずしなければならないことがあります。それは前回の記事でも話したとおり、まずは自分を信じてあげること。
人間関係においては、他人とではなく、まずは自分と信頼関係を築いていくことが一番大切なことであり、それが人生における全ての土台となるのです。
(前回記事:感情が乱れる原因はたった1つだけ)
ここの土台を無視していては、周りと良い人間関係を築くことなど決してできないのです。
では、自分と信頼関係を築くとは一体どういうことなのか、これから具体的に話していきますね。
自分の感情に気付いてますか?
あなたは普段、自分の感情を意識することはありますか?
「あぁ、今俺は頭に血がのぼっているなぁ」とか
「思い通りに行かなくて慌ててしまってるなぁ」とか
そんなことを思ったことはありますか?
自分と信頼関係を築くために最初にしなければならないこと、それは「その時の自分の感情や気持ちにちゃんと気付いてあげること」です。
空気を読むって言葉がありますよね。みんな他人のことには敏感なのに、自分のこととなるとあまり気にしないというか気付かない人が多いんですよね。もっと自分に対して空気を読んであげないといけないんです。
とは言っても頭に血がのぼっていたり、いっぱいいっぱいになってる時って、なかなか冷静に自分の感情や気持ちに気付くことはできませんよね。カッカしたりイライラしたり、ダメな自分を責めて落ち込んだり…
そんな時はちょっとストップしてみましょう。
言葉や行動・思考などを一旦止めるんです。それが難しい状況であれば、時間を置いてからでもいいです。一度深呼吸して、邪魔の入らない静かなところで落ち着いて自分の心と向き合ってみて下さい。
あなたが今、頭に血がのぼっているのなら、あなたは一体何に対して腹を立てているのか、なぜそれに対して腹を立てているのか。
あなたが今落ち込んでいるのなら、なぜ落ち込んでしまっているのか、その原因は何なのか、その理由や原因をできるだけ深く掘り下げて考えてみて下さい。
なぜ感情が乱れているのか、一体何に感情を乱されているのか、その根本原因を掘り下げていくと、必ずと言っていいほどその原因の根っこは相手など自分の外側ではなく、自分の中・自分自身の心の中に存在することに気付くはずです。実は感情が乱れてしまう全ての原因というのは、自分の思い通りにならない現実に対し、自分の不安な心が表面上に表れたものなんです。
「思い通りにならない現実」とは、自分と周りの意見が合わなかったり、周りのみんなが自分の思うように動いてくれないなど、自分の期待や予想する結果通りの現実が得られない状態です。
でも自分の思うようにならなくても、それが普通なんですよね。みんなそれぞれ違う環境で生まれ育ち、それぞれが自分の主観による価値観・ルールに従って生きてるのですから、考え方や行動が違って当然なんですよね。
でも人から違う意見を言われると、不安になってしまう。「もしかして俺が間違ってるんじゃないか…?」と。
人と意見が違うってだけで、なぜ不安になってしまうんでしょうか。それは自分自身に対して疑いの目を向けているからです。自分を信用してない、つまり自分より他人の意見を重要視し、自分より他人の考えを信頼してしまっているのです。あなたにとって一番の理解者であり味方であるはずのあなた自身が、自分の存在を軽く扱ってしまってるんです。
これは人と意見がぶつかった時に、相手を力ずくで説き伏せようとしてしまうのも同じです。自分に自信が無い、自分のことを信頼できてないからこそ、自分が正しいことを何とか証明して安心したいがために、慌ててしまってるんです。
自分と信頼関係を築く
しかしそうは言っても、自分の考えが常に100%正しいとは限りませんよね。もしかしたら相手が的確なアドバイスをしてくれるかもしれません。でもあなたにはあなたなりの思いが必ずあるはず。
例えばあなたにとって、とても大切な人、大好きな人がいるとします。もし仮にその大切な人が間違った選択をしようとしてたら、あなたはどうします?
おそらく止めてあげますよね。
でもその人の気持ちはできる限り酌んであげたいと思いますよね。なぜそのような選択をしようとしたのか、心情的な部分やその思いは受け止めてあげようとしますよね。
大切な人の思いに気付いてあげるのと同じように、自分自身の中にある気持ちに気付いてあげて下さい。
そして自分自身に語りかけてあげてください。「お前の思いは俺がよく分かってる。大丈夫、安心しろ。」と。
大切な人と信頼関係を築くのと同じように、自分自身と信頼関係を築くのです。大切な人を理解し、気持ちに寄り添ってあげるのと同じように、自分自身にもやってあげるのです。
自分との信頼関係が築けてくるとどうなるか、不思議と感情が安定しはじめてきます。仮に間違いや失敗をしてしまっても、感情が以前ほど乱れなくなってくるのです。
自分を信じるということは、どんなことがあろうと、どんな自分でも、決して自分を見捨てないということです。
声に出して、自分に宣言してあげて下さい。
「俺は何があっても絶対お前を見捨てたりしない、生きるも死ぬも一緒だぞ」と。あなた自身が自分の味方になってあげて、自分を安心させてあげるのです。何があってもその都度、「大丈夫、安心しろ」と自分に語りかけてあげるのです。
自分と信頼関係を築くことこそ感情コントロールの土台であり、一番大切な基礎の部分です。また自分との信頼関係は全ての人間関係にも通じる大事な部分であり、より良い人生を送るためにも絶対に外せない部分といえます。
ちょっとずつでもいいので、ぜひ今日から始めてみて下さい。
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