「どんな困難にも、自信を持って立ち向かってもらいたい」
「問題にぶつかっても、自分で考え、自分の力で答えを出せる子になってほしい」
親であるなら誰しも、自分の子に対してこのような思いを持っているのではないかと思います。
ではどうすれば、そのような子に育ってくれるのか?
困難にぶつかってもブレることなく、自信を持って力強く前に進むことの出来る子に成長させるためには、どのような育て方をすればいいのか?
人生というものは、自分の中にある「自己評価」によって大きく変わります。
例えば人生で何かの問題にぶつかった時、仮にその問題を解決できる力が自分の中にあったとする。でも本来解決できるはずの問題でも、その人間の自己評価が低ければ「自分になんて、解決できるはずがない」と尻込みし、問題と向き合うことすらもせずに逃げ出してしまう。
逆にその問題を解決できる力がまだ足りなくても、「いや、自分になら必ず解決できる!」と自分の力を信じることができれば、問題を解決するためのアイデアやエネルギーが自分の中からあふれ出し、乗り越えることさえ可能になってくる。
「自分の中にある自己評価が自分の人生を支配している」と言っても言い過ぎではないくらい、僕らの人生にとって自己評価は重要なもの。
そしてこれは大人に限った話ではなく、もちろん子供も同じ。
むしろ子供の方が思い込みが強いため、「自分はできる」と思い込むと子供というのは失敗も恐れずどんどん積極的になっていき、ぐんぐん伸びていく。
反対に「自分はダメだ」と思い込んでしまうと、とたんに自信を失い、自分の殻に閉じこもり、自ら自分の力を抑える行動に出始める。
つまり子供の将来は、その子の中にある「自己評価」が鍵を握っているということ。
では子供の自己評価を上げるには、どんなことをすればいいのか?
これは大人も同じですが、自己評価を上げるためには「成功体験を積む」ことが、最も効果的な方法の1つではないかと僕は思っています。
何かに挑戦して成功したり上手くいったりすれば、その経験は自信へとつながります。
「僕は、やればできるんだ!」
「私の中には、こんな力があったんだ!」
成功体験を積むことによって自分を信じる気持ちが強くなり、自己肯定感はぐんぐん上がっていきます。成功体験を積めば積むほど、自己評価は比例して上がっていきます。
でも実は、子供の自己評価というのは単に成功体験を積んだだけでは残念ながら上がらないんです。成功体験に「あるもの」を加えないと、自己評価は上がってくれないんです。
その「あるもの」とは、何か?
僕自身の子供時代の経験を踏まえて、話していきますね。
自己評価を上げる「あるもの」とは?
僕は小学二年生の頃から、ずっと剣道をしていました。兄が始めたのにつられて、姉と僕も道場に通うようになりました。
習い始めの頃は、楽しかった。でも次第に、道場に通うのが苦痛で苦痛でたまらなくなっていきました。
というのが、この道場ではうちの父が先生の一人として子供たちに剣道を教えており、自分の子供に対しては半端なく厳しかった。
まず毎朝早く起きて、学校に行くまでの間に家の前の河原で練習。
家の中でも、日常的に剣道の指導がある。
道場でも、練習が終わってみんなが帰っている中、残ってひたすら練習。
人の何倍も練習したと思います。
お陰で剣道に関しては自分で言うのもなんですが、かなり強くなりました。
道場内でも、1つ上の学年の先輩では誰も僕に歯が立たない。
どんな試合に出ても、ほぼ負けなし。
まぁあれだけ練習すれば嫌でも強くなると思いますけどね。
それで僕が道場に通うのが苦痛になった理由、それは父の指導が厳しすぎた…ではないんですね。父の指導が厳しすぎたから剣道が嫌になった訳ではないんです。
ではなぜあれだけ剣道が強かった僕が、剣道を嫌いになったのか?
それは「父に認めてもらえなかったから」です。
当時の僕は、本当に毎日毎日剣道を頑張りました。父の指導する通りの動きが出来るよう、真剣に頑張りました。試合でも毎回絶対に勝利し、結果を出せるように頑張りました。
そして僕は、誰よりも強くなった。
どんな相手にも負けない強さを手に入れた。
なぜ僕がここまで頑張ったのかというと、それは全て「父に認めてもらいたいから」です。父に認めてもらうために練習を頑張り、父に認めてもらうために試合にも勝ち続けました。
でも父は、一度も僕を認めてはくれなかった。
どんなに練習を頑張っても、いつも怒られてばかり。
どんなに試合に勝っても、試合内容が悪いと怒られる。
何をやっても怒られる。どんなに頑張っても、どんなに結果を出しても、ダメ出ししかされない。
そして僕は、完全に自信を失いました。
やがて試合でも勝てなくなり始め、格下の相手にも手こずって勝てない。
最後は精神のバランスを崩してしまい、とうとう僕は剣道を続けることが出来なくなりました。
今改めて自分を振り返ってみると、かつての僕はかなり強かったと思います。
道場の代表選手として試合にも何度も出場し、そして何度も勝利を収めた。
これって客観的に見ると、当時の僕ってまさに成功体験だらけだと思いませんか?
上級生ですら誰も僕に勝てない。そして試合に出れば常に優勝を狙うポジション。本来であれば成功体験だらけで、自信満々なはず…
でもあれだけ試合に勝って結果を出していたにもかかわらず、常にダメ出ししかされて来なかった僕は自分が弱くて下手だと本気で思っていたんです。
つまり、いくら成功体験と思える経験を積んだとしても、それを評価し認めてくれる人間がいなければ、子供はそれを成功体験だと認識することができないということ。
特に親や身近な人間など自分に強い影響力を持つ人に認めてもらえなければ、どんな経験を積んだところでそれは成功体験にはならないのです。
そして逆に大きな失敗をしたとしても、その失敗の中でも子供の頑張った部分や、わずかでも結果を出せた部分を拾い上げて認めてあげれば、それは立派な成功体験となる。変な話、どんなことでも認めてあげれば、それがその子にとっての成功体験へと変わり、自信へとつながっていくのです。
大事なのは「その子がどんな経験を積むのか?」ではなく、「その子をどのように認めてあげるのか?」ということ。
子供というのは、まだ大人のように価値感や価値基準が定まっておらず、外からの声に強く影響されやすいものです。
それが
「良いことなのか?悪いことなのか?」
「正しいのか?間違っているのか?」
「成功なのか?失敗なのか?」
といった判断基準が定まっておらず、親や先生・友達など自分が信頼する人間の判断に委ねてしまうわけです。
子供の経験を成功体験へと変えていけるかどうかは、子供に強い影響力を持つ人間の言葉次第。つまり親もしくは親代わりをしているあなたの言葉が、子供の経験を成功体験へと変えていくのです。
どうぞ、子供の考え、行動、努力や頑張り、思い…そういったものを否定したり無視したりすることなく、認めてあげてください。
あなたの言葉で子供の行動の中から、たくさんの成功体験を拾い上げてあげてください。
あなたの拾い上げたその成功体験が、必ず子供の自己評価を上げてくれるはずですから。
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