人と意見や考えが合わないことって、ありますよね。
職場で上司や部下と意見がぶつかる。
お客さんとの交渉事で、なかなか自社商品の良さを理解してもらえない。
家庭内で、家族といつも言い争いになる。
友人と価値観や考えが合わず、険悪なムードになる。
クレーム処理のつもりが、むしろクレームが大きくなってしまう。
会話って、本当に難しいものですね。
でもこういったトラブル、実はちょっとしたコツで上手くいくようになるんです。
今回は、「相手と意見が衝突してしまう時、相手との関係を悪化させることなく自分の意見も通してしまう方法」について、話していこうと思います。
あなたの意見を聞き入れてもらえない理由
まず前提として理解してもらいたいのが、意見の衝突というのは誰しも必ず起こるものだということです。
人はそれぞれ価値観が違います。
生まれ育った環境がみんなそれぞれ違うわけですから、考え方や感じ方が全く同じ人というのは存在しません。
生まれた時には瓜二つだった一卵性の双子でさえ、成長と共に違いが出てきます。
みんな自分独自の価値観でものごとを考えたり判断したりするわけですから、意見がぶつかって当然なんです。
だからこそ僕ら人間は、話し合いをし、お互いを理解しようとします。
でも話し合っても、相手の考えを受け入れられない時もあります。
自分とは違う相手の考えをすんなり聞き入れられる時もあれば、逆にいくら相手の言うことが正しくても、どうしても受け入れられない時があります。
相手の考えが正しいと頭では分かってても、なぜ相手の考えを受け入れられないのか?
なぜ相手の考えを受け止めてあげられないのか?
その原因は、その時の状況によっていろいろあると思います。
いろいろあると思いますが、個人同士のやり取りの中で「相手の考えを受け入れられない」「相手と衝突してしまう」その一番の理由というのは、「自分の考えや気持ちが否定された」と自分自身が感じているからではないでしょうか?
想像してみて下さい。
あなたが自分の意見を言った上で、相手の口から自分の考えとは違う意見を主張されてしまえば、「自分の意見を却下された」「自分の考えを拒否された」と感じてしまいませんか?
そして人というのは、自分の考えや気持ちが否定されると、反発してしまうものです。
誰だって自分が正しい、自分の考えが間違ってないと思いたいもの。
そして自分のことを理解してもらいたい、認めてもらいたい、受け入れてもらいたい、と誰しも思っています。
それを、自分のことを理解してもらえず、自分の考えを否定されてしまえば、仮に相手の意見がいくら正しくても素直に聞き入れることが出来なくなってしまうものです。
そうなってしまうと、相手と自分、どちらが正しいかなんてもう関係ありません。
感情的に相手そのものが受け入れられなくなってしまいます。
…ということはつまり、自分の話を聞いてもらいたい・自分の意見を通したいと思うのであれば、まず先に相手の話を聞き、相手の考えを受け入れてあげればいいということですよね。
先に相手の考えを受け入れてあげた上で、自分の考えを言えばいいということですよね。
人というのは自分のことを受け入れてもらえると、安心し心にも余裕が生まれ、相手のことも受け入れられるようになります。
だからまずは先に相手を安心させ、こちらの意見を受け入れる体制を相手に作ってもらってから、こちらの意見を言うのです。
実はこれを心がけるだけで、あなたの意見を相手に聞いてもらえる確率は上がります。
周りとの関係や周りとのコミュニケーションも、良くなってくるはずです。
実はこれ、いわゆる「yes,but法」と言われるものです。
まずは相手の言うことを受け入れてあげた上で(yes)、その後相手とは違う自分の意見を主張する(but)。
昔からよく言われている話法なんです。
僕の周りにも、この話法を使う人はいます。
でもこの「yes,but法」、実は僕、使いません。
なぜ使わないかというと、実際に使ってる人を見てても上手くいってないからです。
昔から使われている話法にもかかわらず、なぜ上手くいかないのか?
使えないのであれば、じゃあ一体どうすればいいのか?
ということで、これから僕が普段使っている話法について説明していきますね。
人間関係の摩擦を激減させる話法
この「yes,but法」、僕も理屈では正しいと思います。
でも理屈は正しくても、人間は感情の生き物です。
相手を説得したり、より良い関係を築いていくためには、理屈ではなく
「いかに相手の気持ち(感情)を納得させるか」
そして
「こちらに対し、いかに心を開いてもらうか」
ということを考えないといけません。
最初に相手の考えを肯定し(yes)、その後反対意見を言う(but)。
これで上手くいくことも、もちろんあります。
でも先にyesを言い、その後にbutを言うと、実は相手からするとbutが強調されたように感じるのです。
「うん、なるほど。あなたの言うことはよく分かるよ。でもね、私はこっちが正しいと思うの。」
なんだかダメ出しされたような気になりませんか?
そもそも、せっかくyesで相手の考えを肯定しても、その後にbutを使ってしまうと、結局相手にしてみれば「否定された」と感じるのは同じことなんです。
相手にしてみれば、面白くないんです。
また、相手が “自己保身の強い人” だと、「yes,but法」はほとんど通じません。
なぜかというと、自己保身の強い人というのは、常に不安を抱えています。
自分を守るために、いつも神経をとがらせています。
だから、そういった相手をいくら肯定してあげても、そういう人は少しでも自分が否定的なことを言われると一気に不安が爆発し、とたんに感情が高ぶってこちらを攻撃してきます。
だから、そもそもbutという言葉自体を使わないようにした方がいいんです。
そこで僕は、yesの後にbutを使うのではなく、”and” を使うようにしています。
「and」というのは、「そして」とか「それと」とかいう意味ですよね。
相手の意見を否定したり反論したりするのではなく、相手の考えを受け入れつつ自分の意見を付け加えるようにして、僕は自分の考えを摩擦なく織り込んでいくようにしています。
例えば、これは以前に他の記事で書いていた内容なんですが、分かりやすいと思うので見てみて下さい。
例えば仕事を進める上で最も大切なこと、それは「社員同士の信頼関係」だと、あなたは思ってるとします。
それに対し相手は、「仕事の段取り」こそ、最も大切だと思っているとします。
それについて相手と議論になった時、
例①
相手 「仕事をする上で一番大切なのはやっぱり段取りだよね。」
あなた「いや、社員同士の信頼関係でしょ。」
相手 「お前分かってないね。段取りが狂ったら仕事も進まなくなるし、それによってお客さんにも迷惑がかかるだろ。段取りが一番だよ!」
あなた「いやいや、信頼関係が無ければお互いの連携も取れないし、まずは信頼関係をきちんと築かないと。」
これではいつまで経っても平行線のままですよね。
そこで僕は、次のようにします。
例②
相手 「仕事をする上で一番大切なのはやっぱり段取りだよね。」
僕 「うん、そうだよね。確かに段取りは仕事を進めていく上で外せない大切なポイントだよね。あと社員同士の信頼関係ってのもやっぱり大切だよね。」
相手 「信頼関係? なるほど、それも確かに大切なことだね。」
僕 「社員同士が連携を取りながら、段取り良く仕事を進めていくってのはホント大事だよ。」
相手 「うん、確かにそうだね。」
このように相手の発言や考えを肯定で返しながら、自分の意見も織り交ぜていきます。
どうですか?
相手の考えを否定することなく、自分の意見も主張する。
相手の考えを受け入れながら、話し合いの中に自分の考えも織り交ぜていく。
上の例で言えば、お互いの主張は違うけれども、「どうすれば仕事がスムーズに進められるか?」という目標については僕も相手も同じですよね?
そこに行き着くまでの方法論が違うだけで、向かっている方向は同じなわけです。
実は、目の前のことにとらわれず、大きな視点でものごとを見れば見るほど、相手とぶつからなくなってくるものなんです。
だから相手と意見が衝突してしまう時は、より大きな視点で問題をとらえる。
そして相手の言葉に対しbut(否定)で返すのではなく、and(そして、それと、後は…など)で言葉をつないで、相手の意見を受け入れつつ自分の意見もきちんと主張していく。
お互いがぶつかることなく、双方とも自分の意見をきちんと主張出来るわけです。
もちろんこれによって、他人とぶつかることなく100%自分の意見を通せるようになる…というわけではありません。
相手と意見がぶつかったとき、折衷案などが出せれば一番良いのですが、場合によっては二者択一、相手と自分どちらかの意見に決めないといけない時なんかもあると思います。
でもどちらかの意見が却下されることがあっても、andで言葉をつないでいれば、相手との摩擦も相当軽減されます。
もしあなたの意見が採用され、相手の意見が却下されたとしても、相手も素直に引き下がりやすくなるのです。
意見が衝突しても、相手との人間関係が壊れることなく話し合うことが出来るようになるのです。
慣れるまでは、なかなか上手くいかないかもしれません。
でも一度身についてしまえば、決して難しいものではありません。
なによりこれを身に付けることにより、あなた自身が生きるのが楽になるはず。
他人との摩擦も軽減され、あなたを取り巻く人間関係がずっと良いものになるはずですよ。
ぜひ試してみて下さいね。
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