『俺はこれまで組織の要として周りから頼りにされてきた。
まさに自他共に認める実力者。
しかしここ最近、若手や新人がどんどん伸びてきている。
最近では、ヤツらは俺より完成度の高い仕事をすることさえある。
…おかしい。
俺はこれまで”出来るヤツ”として、今の地位を築き上げてきた。
俺は、誰よりも仕事の事が分かっている。
俺は、誰よりも仕事が出来るはず。
なのに、なぜか俺より仕事の出来ないヤツ・仕事が分かってないヤツに負け始めている。
俺の方が実力が上のはずなのに、なぜなんだ…』
こんな事を感じたこと、あなたはありますか?
自分の方が知識も経験も実力も上だったはずなのに、部下や後輩にいつの間にか追い付かれている。
いつの間にか自分より良い仕事をするようになっている。
それはなぜか?
単に相手が成長し、その実力が上がったから?
その理由もあると思います。
でも、本当にそれだけでしょうか?
相手が成長しただけ…でしょうか?
いいですか。
落ち着いて自分自身を振り返ってみてください。
もしかして、あなた自身の実力が落ちてはいませんか?
あなた自身気づかないうちに、以前のあなたより能力やスキルが少しずつ落ちてきているのではないですか?
僕の周りでも、これまで中心となって活躍していたベテランや、仕事が出来ると言われてきた人たちが、いつの間にか周りに抜かれ、目立たなくなっていく姿というのを何度も見てきました。
こういった現象は、なぜ起こるのか?
年齢と共に、頭の回転速度や体力が落ちたから?
それもあるかもしれません。
僕自身、年齢と共に記憶力が悪くなってきたような気がします(笑)
でも僕の見る限り、単純に年齢的な問題ではないことが結構ある。
周りに抜かれていく多くの人が、以前より能力が落ちてしまったことが原因になっていることが、思った以上に多くある。
どういうことか、これから説明していきますね。
あなたの能力・スキルは退化している!
まず最初に、多くの人が意外と気づいていない事実があります。
それは、「一旦身に付けた能力や技術というものは、何もしなければどんどん劣化していく」ということ。
いくら秀でた能力やスキルを身に付けても、それを活用しなければ、どんどん錆びついていき、使い物にならなくなっていきます。
例えば体が貧弱な人が、体を鍛えて筋肉ムキムキになったとします。
でも、体を鍛えるのをやめてダラダラしてたら、当然筋力は落ちて元の貧弱な体に戻ってしまいますよね。
でもこれは、単に目に見える筋肉だけの話ではないんです。
仕事やプライベートなどで身に付けた能力やスキル、知恵や知識といった目に見えないものでさえも、使わなければ次第にレベルが落ちていくのです。
基本的に自分が身に付けた全てのものは、活用しなければ確実にレベルは落ちていきます。
人の能力というのは、必要に迫られれば伸び、必要に迫られなければ退化するもの。
(もちろんこれは人に限らず、地球上の全ての生物がそうですが)
例えば受験中にはあれだけ勉強して身に付けた知識が、今ではほとんど忘れてしまっている。
つまり必要の無い知識・使われない知恵は、放っておいたら退化していき、使い物にならなくなっていく。
必要に迫られるからこそ、その能力・スキルが伸びていくのです。
だから仮に今の知識・経験・知恵・実力といったものを”現状維持”しようとしても、必要に迫られてなければその実力は必ず徐々に落ちていくことになります。
というか現状維持という考えでは、現状を維持することは出来ない。
なぜなら、トップアスリートといったごく一部の厳しい世界で生きる人間でない限り、「現状維持=そこまで頑張らずとも出来ること」と考えているから。
つまり「現状維持=そこまで頑張らずとも出来ること=ぬるま湯に浸かった状態」ということ。
仮に仕事で自分の能力やスキルを普段から使っているとしても、惰性で仕事をしているのであれば、その能力・スキルはそれほど必要に迫られていないということになり、そのレベルは残念ながら落ちていくのです。
話は変わりますが、僕の家では「アマゴ」という魚を飼っています。
アマゴというのは河川の上流域の、流れのかなり激しいところに住む渓流魚です。
ところでこのアマゴ、養殖用として釣り堀などでも目にすることが出来ます。
それでこのアマゴなんですが、”天然魚”か”養殖魚”か、見分ける方法があります。
どうやって見分けるかというと、”尾ひれ”を見ます。
天然魚、つまり野生のアマゴは流れの激しい流域を常に泳いでいるため、遊泳力を上げるために尾ひれの先が大きくピンと鋭く尖っています。
逆に養殖用のアマゴは、釣り堀などの流れの緩やかなところしか泳がないため遊泳力が必要とされず、尾ひれの先が丸く退化(?)しています。
天然魚にしろ養殖魚にしろ、魚なので水を泳ぐための尾ひれを持ち、普段からそれを使っている。
でも養殖魚のように遊泳力が必要とされてなければ、いくら普段から使っていてもその部分はだんだん退化していく。
大きくピンと尖った美しい尾ひれを維持することは出来ないのです。
つまり、いくらあなたが今の職場で知識・経験豊富なベテランであったとしても、仮にいくらあなたが仕事の出来る人間だったとしても、チャレンジすることなく惰性だけで仕事をしているのであれば、養殖用のアマゴの尾ひれと同じようにあなたの能力・スキルは間違いなく退化していくということ。
現状維持どころか確実にレベルは下がっていき、いずれ周りの人間にどんどん抜かれていくことになります。
つまり、向上心を失えば、その瞬間からあなたのあらゆる能力のレベルが落ち始めるということです。
もし周りの人間に追い付かれたり追い抜かれたりして焦っているのなら、もしかすると周りの人間のレベルが上がってきたのではなく、あなた自身のレベルが下がってきているということはありませんか?
単に周りが成長したのではなく、あなたが退化してしまっているということはありませんか?
向上心を失った人間が落ち始めるのは、本当に早いもの。
向上心を失えば、その瞬間から全ての行動が惰性になります。
頑張る必要が無いんだから、その能力が伸びる必要はもう無い。
頑張る必要が無いんだから、その能力は今の状態を維持できる必要最低限のところまで縮小していく。
あなたは大丈夫ですか?
今のあなたは、何か目標を持って生きていますか?
向上心を持って、何かにチャレンジしてますか?
人間は、常に変化し続けている。
何も変わらない、現状維持なんてものは存在しない。
進歩するか、退化するか。
前に進むか、後ろに下がるか。
必ず、そのどちらかしかない。
あなたはどちらを選びますか。
前に進みますか?
それとも、後ろに下がりますか?
メッセージ