あなたの周りで、不思議と他人から気軽に話しかけられるような人はいませんか?
また逆に、誰からも避けられる、その人がいるだけでドンヨリとした空気になる、そんな人いませんか?
前回の記事では、「会話とは、話の内容ではなく、その場にどんな空気(雰囲気)を作るのかというのが重要」という話をさせていただきました。
今回の話は前回の内容とつながってきますので、もし内容を忘れてしまった人や、まだ読んでないという人は、お時間があればご参考までに読み返してみて下さい。
(前回記事:【会話術④:会話が続かない、盛り上がらない、何を話していいか分からない、雑談力を上げたい…そんな悩みを抱えたあなたへ】)
人から気軽に話しかけられる人、逆にみんなから避けられる人、この両者は一体どこで差が出てしまうのか?
一言で言えば、それは「その人間が作り出す空気の差」です。
自分がどんな空気を作り出すかによって、会話だけでなく人付き合いの仕方や人間関係そのものも決まってくるのです。
ではその「空気」とは、一体どのように作られるのか?
今回は、前回の記事を、より掘り下げて話していこうと思います。
人はイメージ上のあなたと話している
あなたにも、好きな相手もいれば苦手な相手もいると思います。
好きな相手とだったら、話してて楽しいですよね。
いつまででも話していたい、そう思いますよね。
逆に苦手な相手とだったら、会話どころか一緒の空間にいることさえ苦痛です。
そんな相手とは出来るだけ話さないようにする、無意識に相手を避け接触しないような行動を取ってしまうものです。
では今ちょっと、あなたが好きな相手・話してて楽しい相手を思い浮かべてみて下さい。
出来れば恋愛感情を持っていない相手や、同性の相手を思い浮かべてみて下さい。
あなたはなぜその相手が好きなのですか?
なぜ話してて楽しいのですか?
理由はいろいろあると思います。
例えばその相手と気が合う、趣味が似ている、変な気を遣わなくてもいい、あなたのことを否定したり悪く言ったりしない、あなたのことを信頼してくれている…
人によって様々だと思います。
では今度は、あなたが嫌いな相手・同じ空間にいるのも苦痛な相手を思い浮かべてみて下さい。
あなたはなぜ、その相手が嫌なのですか?
いつもあなたのことを怒る、話をちゃんと聞こうとしない、嫌味や悪口を言う、嘘をつく、あなたに対し低い評価を付けてあなたを困らせる…
こちらの理由も、いろいろあると思います。
では、あの人が好きな理由、あの人が嫌いな理由、その「理由」はいつ出来たのですか?
いつ出来たか…それは全て過去に出来たものです。
これまでのその相手との関わり合いの中で、「この人はこんな人だ」といったイメージが作られていき、そのイメージを元にその人と今後仲良くしていくかどうかを判断しているのです。
つまり僕らは、その相手をそのまま見ているのではなく、自分の中に作られた「相手に対するイメージ」を通して相手を見ているのです。
例えばあなたは人に何か話す時、
「この人はこんな話をしたら、こんな返事を返してくるだろう」
みたいな予測を立てながら話すこと、ありませんか?
「こんな言い方したらこの人はきっと怒るに違いないから、もっと遠回しな言い方しよう」とか、
「いくら言っても、この人はどうせ分かってくれないだろう」とか、
「この人は、言わなくてもきっと分かってくれるはずだ」とか、
「この人とだと、きっと会話が弾むに違いない」とか。
話す前に相手の反応をイメージしたり、またはイメージしながら話してませんか?
ある意味僕らは、相手と話しているのではなく、自分の中にある「イメージ上の相手」と話しているのです。
自分の中に「イメージ上の相手」を作り上げ、そのイメージ上の相手に話しかけた時の反応を見る、つまりイメージ上の相手とシュミレーションをした上で、現実の相手にどう話しかけるかを決めているのです。
ちょっとややこしい説明になってしまいましたね…
つまり僕らは、その時その瞬間の相手をそのまま見ているのではなく、過去のこれまでの相手を思い起こしイメージしながら相手を見ているのです。
例えば真面目で誠実なイメージの人が不正を働いたら、みんなビックリしてなかなか信じられないですよね。
逆に嘘つきでチャンポランな人が、いくら真面目なことを言っても、誰も信じません。
そのままの相手を見ているのではなく、自分の中にあるイメージ上の相手を通してその相手を見て判断しているのです。
あなたが周りから好かれる理由・嫌われる理由
では周りの人たちの中にある「イメージ上のあなた」は、具体的にどのように作られていくのか?
これは大きく分けて、2つあります。
まず1つ目は、これまで話してきたとおり「これまでのあなたの言葉や行動・態度」から作られます。
周りの人たちはあなたの言動を見て、「あなたはこんな人なんだ」というイメージを作っていきます。
そして2つ目は、「相手の持つ色眼鏡を通した見方」によって作られます。
人はそれぞれ生まれた場所も違えば育った環境も違います。
人それぞれ様々な経験を通して、その人独自の価値観や考え方、信念やものの見方が作られていきます。
例えば同じ犬を見て、「可愛い」と言う人もいれば、「怖いという人」もいますよね。
子供の頃から犬に慣れ親しんできた人は、「犬は人間の仲間だ」という見方をします。
でも子供の頃に犬に噛まれたり追いかけられた経験を持つ人は、「犬は獰猛(どうもう)な生き物で、人間の敵だ」という見方をします。
同じものでも人によって見方や感じ方も違う。
つまり人は、その人独自の色眼鏡をかけてものごとを見ているのです。
人は自分だけの色眼鏡を通して、あなたを見ています。
そしてこの色眼鏡は、幼い頃から長い時間をかけて作られてきたもの。
ちょっとやそっとじゃ変わるものではありません。
だからここを変えようとするよりは、1つ目の「これまでのあなたの言葉や行動・態度」の部分を変えることによってあなた自身のイメージを変えていく方が、はるかに早いです。
ではあなたのイメージをより良いものにするために、具体的にどこを変えていけばいいのか?
ところであなたは、「メラビアンの法則」というのを知っていますか?
以前ある記事で話したことがあるので、それを引用しますね。
この法則は、簡単に説明すると
「ある人から矛盾したメッセージが発せられた時、相手がどのように受け止め、どのような影響を受けるのか」
といった実験をアルバート・メラビアンという人が行なったものです。
この実験の結果、人が受け取る情報というのは、
「話の内容などの言語情報」が7%
「口調や話の早さなどの聴覚情報」が38%
「見た目などの視覚情報」が55%
という割合で情報を認識する(信じる)、という事が分かりました。
つまり人は話を聞き理解(信用)するのに、言語による情報(7%)よりも聴覚や視覚などのボディランゲージ(合わせて93%)に主に頼っているという事です。
言語に重きを置いてないのです。
分かりやすい例を挙げると、例えばあなたは今コンビニで立ち読みをしているとします。
そこにヤクザ風のいかにも迫力のある男たちがゾロゾロと入ってきました。
その男たちは店員と何やら話をしているのですが、その話に聞き耳を立ててみると、その男たちはヤクザとは思えないほどの丁寧な言葉遣いで話してます。
でも店中に響き渡るような低くて迫力のある声です。
あなたなら、この男たちに対してどのような印象を受けますか?
いくら丁寧な口調で話してても、声は重低音の迫力ある大きな声だし、おまけに顔つきや格好もすごく怖そうだし、正直同じ店内に居たくないですよね。
こちらに変なとばっちりが来ないか、気が気ではないんじゃないでしょうか。
つまりこの男たちの丁寧な言葉(言語)による情報より、この男たちから発せられるボディランゲージ(見た目や声の調子)からの情報を真実として受け取っているという事です。
このように人間というのは人を判断する時、言葉ではなく行動や立ち振る舞いで判断します。
いつも良いこと(言語)を言ってても、行動(視覚)が伴ってなかったり、人をバカにしたような声(聴覚)で話すような人は、誰からも信頼されないのです。
*引用記事:【第十二章:あなたの影響力・発言力を根本から上げるコミュニケーション術!!もう周りはあなたを無視出来ない…】
ここでいう「ボディランゲージ」とは、単なるジェスチャーではなく、見た目や体の動作を利用した非言語コミュニケーションのことを指します。
人が他人を判断する時、言語による情報ではなくボディランゲージに大きく頼っているのです。
会社の採用試験でも、必ず面接試験がありますよね?
履歴書の提出や筆記試験があっても、わざわざその人間を直接見て判断する。
つまり相手のボディランゲージを見て、その人間を判断しているのです。
そもそもこの地球上の生き物のほとんどが、ボディランゲージによってコミュニケーションを取っています。
言語を使っているのは、僕ら人間だけです。
そして地球上に言語が生まれたのも、地球の歴史から言えばつい最近のこと。
つまりコミュニケーションの本質はボディランゲージであり、このボディランゲージこそがあなたのイメージを作り出している正体です。
あなた独自の雰囲気や空気というのも、このボディランゲージによって作られているのです。
いくら表面上で良いことを言ったって、あなたに対する周りのイメージはなかなか変わってはくれません。
でもあなたのボディランゲージが変われば、あなたに対するイメージ、そしてあなたのまとう空気はガラっと変わる。
すると、周りの人間が抱くあなたに対する印象が変わる。
会話だけでなく、自分の望む人間関係だって引き寄せることも出来るようになるのです。
あなたは人から話しかけられたりした時、無愛想な表情で無愛想な返事をしてませんか?
人から何かを頼まれた時、難しい顔をしながらイヤイヤ受けたり、または安請け合いしたりしてませんか?
ちゃんと人の話を聞いてあげてますか?
相手の考えを否定して、自分の話や意見ばかり言ってませんか?
相手と同じ目線で話してますか?
相手を馬鹿にするような表現をしたり、上から目線で発言したりしてませんか?
自分から挨拶してますか?
明るい声と明るい表情で、相手をちゃんと見ながら相手に聞こえる声で、自分から挨拶したり話しかけたりしてますか?
人は、話しやすい相手に話しかけます。
話しにくいと感じる相手と、わざわざ会話をしようとは思いません。
自分のこれまでのボディランゲージ(行動・立ち振る舞いなど)を思い出し、チェックしてみて下さい。
今のあなたの現実は、これまでのあなたのボディランゲージが大きく関係しているのです。
あなたの身近に、あなたが理想とする人や憧れる人はいますか?
その人はどんなボディランゲージで、どんな空気や雰囲気を作り出していますか?
どんな人間関係に囲まれていますか?
コミュニケーションの本質は言葉ではなく、非言語であるボディランゲージ。
言葉ももちろん大切ですが、これからは言葉以外の部分にも注目してみて下さい。
きっと、いろんなことが見えてくるはずですよ。
次の記事↓
会話術⑥:空気を読む力を確実に上げる2つのスキル。これがあればもう人間関係に悩まされることはない。
会話術を初めから読む↓
メッセージ