会社や団体など何かしらの目的を持って集まった集団・組織には、その方向性を決め組織を導いていくリーダーの存在が必要です。
この”リーダー”というポジション、会社なら社長、もしくは社長や上の者が決めた人間、またはみんなの合意によって決めることもあれば、自然と特定の人間がリーダー的役割を果たすようになることもあります。
そしてその集団・組織が目指している目的や目標が達成出来るかどうか?所属する人間が適材適所でそれぞれの力を最大限発揮できるかどうか?というのは、リーダーの力量にかかっています。
まさにリーダー次第ですね。
で、このリーダーのポジションに”リーダーとして相応しくない人間”が就いてしまうと、組織はたちまち迷走し始める。
僕はこれまで”組織のリーダーとして相応しくない人間”を、数多く見てきました。
相応しくない人間がリーダーとして権限や影響力を持つと、組織内の連携が崩れてみんなの動きがバラバラになり、その結果組織が混乱状態に陥ってしまったり、あちこちで不満が噴出し始めたりします。
本来組織というものは、正常に機能すれば「1+1」が3にも4にもなるもの。
それが、リーダーによっては「1+1」が2にもならない、むしろマイナスになることもある。
まさにリーダー選びを間違うと、組織そのものが崩壊してしまうのです。
それで今回は、「そのリーダーは、本物か偽物か?」を見極める方法について、話そうと思います。
あなたの組織のリーダーは本物か?偽物か?
またはあなたが現在リーダーというポジションにいるのなら、あなた自身に当てはめながら読んでみてください。
偽物のリーダーの特徴
僕の知り合いに、ある会社の社長がいます。
実はその社長の会社、とにかく人の出入りが激しい。
人が新しく入っても、なぜか誰も長続きしない。
数年すれば、みんないつの間にか消えている。
でもそうかと思えば、不思議と長く続いている人間がほんの数名だがいる。
なぜこの社長の会社は、人が残らないのか?人が育たないのか?
そしてなぜ一部の特定の人間だけは、いつまでも長く続くのか?
不思議に思った僕は、この会社をしばらく観察してみました。
そしてその原因が、この組織のリーダーである社長にあるということが見えてきました。
この社長は、偽物のリーダーでした。
この社長には、ある”癖”があります。
それは「責任を回避しようとする癖」です。
ここぞという決断をすべき時、その決断を必ず別の人間にさせる。
そしてその決断の結果上手くいかなかったら、必ずその決断をした人間のせいにする。
自分の会社であるにもかかわらず、とにかく責任を負おうとしない。
この社長、リーダーであるにもかかわらず、なぜ責任を負おうとしないのか?
それは「目の前の自己保身しか考えていないから」です。
自分の立場を守ることばかりを中心に考えているから、決して責任を負うことをしないのです。
だから新しい人間・新しい戦力が会社に入っても、その人間が優秀だったり自分に意見を主張してくるような人間だったら、自分の立場を脅かす可能性があります。
そんな人間、会社に置いておくわけにはいきません。
何かと理由を付け、会社を辞めるよう追い込んでいきます。
せっかくやる気を持って入社し、会社のことを考えていろいろ意見を言っても、結局社長からしてみれば「自分に意見する=自分の立場を脅かす存在」としか見えず、退職に追い込まれてしまうのです。
だから人材が残らない、人材が育たない。
そうなると、会社に残るのは「社長の立場を脅かさない人間」だけ。
つまり社長の言うことに対し全て肯定し賛同する人間、いわゆる”イエスマン”だけが残る。
社長と同じように自己保身の強いイエスマンだけが残り、本当に会社のことを考える人間は全て排除されてしまう。
少しでも自分と意見の合わない人間・自分に意見を言ってくる人間(=自分の立場を脅かす人間)が入ってくると、退職に追い込む。
そして自分の考えに対し常に賛同してくれる人間(=自分の立場を脅かさない人間)は、優遇する。
だからこの会社は、人材が残らない、人材が育たない。
そして愛社精神の無い一部のイエスマンだけが、ずっと残り続けることになる。
実はこれ、この会社に限ったことではないんです。
日本には、こういった会社、こういった経営者、こういったリーダーが、ものすごく多い。
残念ながら今の日本は、偽物のリーダーで溢れ返っている。
自己保身ばかり考え、いかに責任から逃れようかと頭を働かせることに一生懸命なリーダーばかりが溢れかえっているのです。
本物のリーダーの条件
では本物のリーダーとは、どんな人間のことを指すのか?
本物のリーダー、一言でいうとそれは
『全ての責任を負う覚悟を持つ人』です。
これは組織のリーダーとして、ごく当たり前のことですよね。
リーダーとは、組織で起こることの全責任を負うということが前提条件。
この覚悟が無ければ、組織を導く権限も無いことになる。
リーダーが責任を負うからこそ、下の人間もリーダーの指示に従う。
責任が伴わなければ、そのリーダーの発言・指示は単なる無責任発言でしかないわけです。
誰も言うことを聞かなくなります。
真のリーダーとは、常にその集団・組織の発展を目的とする。
どうすれば、その集団が目指す目的・目標を達成することが出来るか?
どうすれば、一人ひとりが最大限の力を発揮することが出来るのか?
いかに人材を配置すれば、「1+1」を3や4に出来るのか?
どう指導すれば、より優秀な人材が育つのか?
真のリーダーとは、「自分」のことではなく「集団・組織」のことを考える人のこと。
だから本物のリーダーは、組織を発展させるために優秀な人材を欲しがります。
また、今いる人材を懸命に育ててレベルアップさせようとします。
真のリーダーの目指すところは組織の発展。
そのためには、人材が育たなければならない。
自分と共に組織の柱となってくれる人間が、ぜひとも欲しいわけです。
だから真のリーダーは、自分の意思を持ち、それを主張してくる人間を好む。
自分とは違う視点、違う考えを持つ人間を好む。
自分の間違いを指摘してくれる存在を、頼もしく感じる。
そして常に組織全体のことを考えているから、たとえ部下や他の人間が失敗しても、それを自身の失敗ととらえる。
全ての責任は自分にあるわけだから、その組織内で起こったどんな些細な失敗も、自分の失敗・自分の責任として受け止める。
また、自分で成し遂げた成功は、自分の手柄ではなく組織の手柄としてとらえる。
そして部下や仲間が成功した時は、自分のことのように喜ぶ。
本物のリーダーとは、全ての責任を負う覚悟を持ち、自己保身の心を持っていないものなのです。
本物と偽物の見極め方
もうここまで話せば、そのリーダーが本物か偽物かの見分け方、分かるのではないかと思います。
偽物のリーダーは、自己保身が強く、責任を負うことをとにかく嫌う。
それを見極めるには、そのリーダーの、部下や仲間への接し方を見れば分かります。
自己保身の強いリーダーにとって、自分の部下や仲間は、自分の地位や立場を脅かす存在。
だから、少しでも自分と違う意見を言われたり反論されたりすると、その途端に機嫌が悪くなる。
または部下や仲間が手柄を立てると、自分のポジションを取られるのかと焦り、他人の成功を素直に喜べない。
つまり偽物のリーダーは、部下や仲間を恐れます。
逆に本物のリーダーは、自分の部下や仲間を懸命に育てようとします。
そして部下や仲間が結果を出すと、まるで自分のことのように喜ぶ。
また、自分とは違う意見や自分に対して反論してくる人間に対し、それを否定するどころかむしろ組織を良くしていくための材料として積極的に取り入れようとする。
本物のリーダーは、どんな時も部下や仲間のことを恐れることがありません。
ということで、そのリーダーが本物か偽物か見極めるためには、これまで僕が話したことを踏まえて「そのリーダーが部下や仲間のことを恐れているか?恐れていないか?」を見てみて下さい。
その人間が本物のリーダーかどうか、きっと分かるはずです。
そしてもしあなたがリーダーであるなら、自身が本物のリーダーかどうか、今一度振り返ってみて下さい。
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