今回は、組織を率いるリーダーにとって必須ともいえる”あるスキル”について、話していこうと思います。
組織やチームのリーダーには、決断を迫られる場面が必ず付きものです。
その決断がちょっとした事ならいいんですが、それが組織の存続自体を左右するような決断、プロジェクトの成否を決定づけるような判断も、リーダーはしなくてはいけません。
大きな決断になればなるほど、迷いが生じ、不安でなかなか決断出来なくなるものです。
でもリーダーは、どんな時・どんな状況でも常に最適な判断をしなくてはならない。
最善の道を、常にチームの人間に示し導いていかなければならない。
リーダーには、組織やチームを正しい道へと導く”決断力”が求められます。
では、いつ・どんな時でも最適・最善の判断を下すには、どうすればいいのか?
そのためには、一体どんな能力を身に付ければいいのか?
僕自身の経験を踏まえながら、話していきますね。
判断ミスをしてしまう原因
大きな決断をしなければならない時というのは、誰しもプレッシャーがかかりますよね。
またその決断が自分だけのことではなく、周りの人間や組織にも大きな影響を与えるともなれば、責任重大です。
心の中は不安や恐怖といった、ネガティブな感情でいっぱいになります。
大きな決断をする時は、誰しも感情が乱れるものです。
逆に、大したことの無い決断、どっちに転んでも誰にも迷惑のかからないような決断だと、どうですか?
みんな落ち着いて決められるんじゃないでしょうか。
感情を乱すこともなく冷静に、けっこう良い判断が出来るんじゃないでしょうか。
判断を間違える時というのは、大抵は冷静さを欠いている時です。
不安や恐怖に心が支配されている時、またはテンションが上がりすぎて通常の状態ではない、そんな冷静さを欠いている時に、判断ミスは起こります。
では冷静さを欠いていると、なぜ判断ミスをしてしまうのか?
それは、ものごとを決める時は必ずその決定に対し、その時の自分の感情が強く影響するからです。
あなたは何かを決める時、どうやって決めていますか?
例えば二者択一であれば、
「どちらを選択した方がメリットが大きいだろうか?」
といった感じで、理性的に計算して決めていますか?
大抵の人が、そう思っています。
大抵の人が、「自分は理性的に考えて決断している」と思っています。
でも実は、決断しているのは”理性”ではなく”感情”なんです。
決断や判断を迫られた時、まず最初に感情が動きます。
いわゆる「好き・嫌い」「やりたい・やりたくない」といった気持ちです。
まず最初に感情が反応し、実はここで決断の方向性が決まる。
そして感情が決めた方向性に対し、理性が「なぜそうしたほうが良いのか?」といったことを論理的に肉付けしていく。
つまり、ものごとを決断しているのは”感情”。
そして、その感情を後押ししているのが”理性”なんです。
ものごとを決断しているのが感情だから、感情が乱れればそれだけ正しい判断も出来なくなってくるのです。
強いプレッシャーがかかった時、
心が不安だらけの時、
または楽しすぎてテンションが異常に上がっている時、
そういった感情が乱れている時に、判断ミスも最もよく起こるのです。
ということは、リーダーとしてより正しい判断をしていくためには、感情のコントロールが欠かせない。
そう、組織やチームを正しい道へと導くリーダーとして必須ともいえるスキル、それは「感情のコントロール」。
組織のリーダーが感情のコントロールが出来なければ、その組織は遅かれ早かれどこかで必ず道を踏み外します。
逆にリーダーの感情コントロール能力が高ければ、組織はどんどん安定していきます。
ということで、リーダーの必須スキルである感情のコントロールについて、その身に付け方をこれから話していきますね。
リーダーのための感情コントロール法
自分の感情をコントロールするために必要なこと、それは「自分自身を理解すること」です。
自分自身をよく観察し、そして自分のことを認め受け入れ、信じる。
自分を信頼する気持ちが強くなれば、それと比例して感情も安定していきます。
自分を信じる気持ちが強くなるほど、不安や迷う気持ちも少なくなり、決断力や判断スピードも上がっていきます。
ただ、自分を信頼するということについては、これまでにもう何度か話してきたので、今回は省略して違う話をさせてもらおうと思います。
自分の感情をコントローするには、どうすればいいか?
実際、感情をコントロールすると言っても、何をどうすればいいか分からないですよね。
感情をコントロールするためには、まず「感情がどういうものなのか?」ということを理解しないといけません。
ということで、まずは他人の感情というものを観察してみて下さい。
あなたの部下や仲間、あなたの周りにいる人間の感情の動きを、よく観察するのです。
どんな時に、どのように感情が動くのか?
どんな言葉や態度に反応し、喜んだり怒ったりするのか?
どんな状況の時に、慌てたり取り乱したりするのか?
どんな時に、やる気になったり、またはやる気を無くしたりするのか?
相手の表情や言葉・態度などを観察し、そこから相手の感情を読み解く。
相手を観察し、相手の心理状態を読み取ってみる。
あなたの観察力と想像力をフルに使って、周りの人間の心を読み取ってみてください。
そしてあなたがリーダーであるなら、相手の心の状態を読み解くというのはもう習慣にしてください。
無意識でやってしまうぐらいのレベルにまで達すれば、上出来です。
そして相手の感情の動きが見え始めるようになると、今まで見えなかったもの・感じなかったことが、読み取れるようになってきます。
仕事の進行を邪魔している複雑化した人間関係、やる気のある人間と無い人間の違いやその原因、やる気の無い空気を作り出している元凶…
そういった、今の自分を取り巻く状況が、次第に見えるようになってきます。
そして、相手の心の状態を読み解くことが出来るようになってきたら、今度はその目を自分自身にも向けてみてください。
他人に対してやっていたことを、自分自身にも同じようにやってみて下さい。
自分を客観的にとらえるのです。
きっと今まで以上に、自分の心理状態がよく分かるようになっているはずです。
きっとあなたは、自己分析が出来るようになっているはずです。
すると、自分がどんな時に感情が乱れるのか、把握できるようになるはず。
どんな時に、自分の感情がどのように動くのか、分かるようになるはず。
自分に対する理解が深まれば深まるほど、感情をコントロール出来るようになります。
これまでだったら感情が乱れていたような場面に遭遇しても、自分を客観的に眺め、より冷静な判断が出来るようになるはずです。
感情コントロールとは、他人を知り、自分を知ること。
人間理解が深まれば、感情のコントロールも自然と出来るようになっていくのです。
メッセージ