人間関係を制するための9つの鍵(web版) | 無料講座

人間関係を制するための9つの鍵(web版)

 

■ はじめに…

僕はネットや対面などでいわゆる人間関係に関する相談を受けることがあるのですが、これまでいろんな人の相談を聞き、解決のためのアドバイスも僕なりにいろいろしてきました。

でもなかなか根本的な解決にまで至らないこともよくあります。
「うーん、どうしたものか」と僕なりに考えた結果、ある答えに行き着きました。

それは「目の前の問題に対していくら上手く対処したとしても、結局は土台の考え方そのものを根本から変えないと、この先も何度も同じことで悩まされ続ける」ということ。

逆に土台の考え方が変われば、何かの問題にぶつかっても自然と自らの力で解決することもできるようになったりもするわけです。

ということで今回、元対人恐怖症だった僕自身の経験も踏まえたうえで、自分を取り巻く人間関係を改善し、自分の人生の主導権を自らの手に取り戻していくために必要な9つのファクター(要素)について話していこうと思います。
ご参考になれれば嬉しく思います。

ところで

「自分はどうしようもないほどの最低なダメ人間で、頭も悪く何一つ取り柄もない低スペック な人間ですけど、あなたのことが好きです。付き合ってください。」

もしあなたが異性からこのような告白をされたなら、どうです?
この相手と付き合おうと思いますか?

こんなネガティブな自己否定発言ばかりする相手とこれから付き合っていくと考えると、正直言ってもう不安しかないですよね。
果たしてこんな相手と将来的に良い関係を築いていけるのか?
先のことを考えると、もう暗い未来しか見えませんよね。

残念ながらこういったシチュエーションでうまくいくのは、漫画やアニメやドラマの世界だけ。
仮に相手がとてつもない大富豪だったり、あなたがすでにその相手に対してベタ惚れでもない限り、速攻でお断りされて終了です。

これは恋愛に限らずビジネスなどでもそう。
手を組んだビジネスパートナーが
「いやー、私って能力低いし何をやってもうまくいかないダメ人間なんだよね。だから難しい仕事なんて無理だよ。」
こんなこと言われたら、もう一緒に仕事なんてできないですよね。

こういった人たちに共通する点、それは「自尊心の低さ」。
自尊心とは、自分自身を大切に思い、自分は価値ある存在だと感じる気持ちのこと。

自尊心が高いとは、自分に対して誇りを持っている、つまり自己評価(セルフイメージ)が高いということ。
自尊心が高い人は、自分の強みや良い部分を自ら認識し、他人と変に比較することなく自分自身の価値感に沿って生きることができます。

逆に自尊心が低いと自分に自信が持てず、他人と比較しては落ち込んでしまうといったことをひたすら繰り返す人生を送ることになるわけです。

自尊心が低いと基本的に物事は上手くいかないし、チャレンジもやはり成功しません。
「自分はダメだ」と思いながらやるわけだから行動にも勢いがなくなるし、ここぞという時に勇気をもって踏み出すこともできなくなる。

まさに自尊心によって自分の行動が変わる。
そして自分の行動により、自分の人生は創られていく。
つまり「自分の中にある自尊心によって自分の人生が決まる」と言っても過言ではないわけです。

それを踏まえたうえで、人間関係を改善し自分の人生の主導権を自らの手に取り戻していくための9つのファクター(要素)について、これから話していきます。

 

■第一の鍵「自分を許す」

第一の鍵は「自分を許す」です。
あなたは自分が何かしら失敗をした時、「自分はダメだ、自分には価値が無い」そうやって自分を責めてしまうことがありませんか?

成功したから価値がある
地位や名誉やお金があるから、自分には価値がある
仲間や友人がたくさんいるから、自分には価値がある
そしてそれらを持っていない自分には価値がない

…もしかして、そう思っていませんか?
だとしたら大きな間違い、というか勘違いです。

僕らはみんな何も持たない裸の状態で産まれ、そして死の間際も何も持たずに死んでいきます。
つまり上に書いたような、人生における成功や、地位や名誉、お金、仲間、友人…それらのもの
はいわゆる付属品であって、僕らが生きている間の時間を彩る装飾でしかないということ。

例えば地位や名誉や肩書といったものは、何かあれば簡単に失ってしまうものですよね。
でも多くの人がそれらを自分の実力だと勘違いする。
そしてそれらを失った途端に自信を失い、みっともないほどに慌てふためく。

いいですか、僕らは一人ひとりが大きな可能性を秘めており、存在そのものに価値がある。
そして何も持たない状態の自分が100%の自分なのです。
そして何も持たない状態から地位や名誉や仲間が増えていくと、110%、120%…と増えていく。

では手に入れた地位や名誉や仲間を全て失ってしまうと、どうなるか?

 

…そう。元の100%の自分に戻るだけ。
ただそれだけです。

でも多くの人が付属品を持った状態の自分が100%だと錯覚し、それらを失うと90%、80%…と自分の価値そのものが無くなっていくと思 い込んで慌てふためいてしまうのです。

たとえあなたが失敗しようと成功しようとも、元々のあなたの価値そのものは何も変わらないのです。
地位や名誉や仲間などは、もちろんあればあったでいいです。
あなたの人生をより豊かなものにしてくれるかもしれない。

ですがそれらはあくまで付属品であり、あなたの価値そのものを表すものではない。
だから失うことを恐れないでください。
失敗を恐れないでください。
と言うか、むしろ失敗こそが自分自身の価値を底上げしてくれます。

成功であれ失敗であれ、全てが貴重な経験であり、そこで得た知識や知恵は自分の価値そのものを押し上げてくれます。
もっと言うと、成功ではなく失敗こそが大きく成長するチャンスなのです。

例えばあなたが何かに成功した時のことを思い出してください。
成功した時というのは、気持ちが浮かれて「なぜ成功したのか?」その理由や原因をあまり考えたりしませんよね。
だって、成功したんだから何も困っているわけではないので、特に何も考え込む必要なんてありませんよね。

逆に失敗には精神的な痛みが伴います。
だから自然と「なぜ失敗してしまったのか?なぜうまくいかなかったのか?」と考えてしまうもので す。
つまり失敗すればするほど人は考えるようになり、それによって必然的に物事の本質が理解できるようになる。

つまり失敗こそが成長の原動力となる。
失敗するのはむしろラッキーだということです。

ただ、失敗してしまうと後悔してグルグルと思い悩み続ける人もいますよね。
その気持ち、僕にもわかります。
でも今言ったとおり、失敗こそが自分を成長させてくれる。
だから後悔する必要はありません。

するべきなのは「後悔」ではなく「反省」なのです。
失敗したら、その失敗を踏まえたうえで今度どうすればうまくいくのかを考える。
それだけでいいのです。

実は「悩む」という行為は、ある意味「何も考えていない」のと同じです。
「自分はダメ人間だ」
「人生もう終わりだ」
「自分には生きている価値が無い」

そうやって現実逃避し、これからどうすべきか考えることを放棄しているわけです。
あれやこれやと悩んでいる時間こそが、人生において最も無駄な時間なのです。

自分を責めたって、何も問題は解決しません。
僕らが考えるべきは「これからどうするか?」ただこれだけです。

 

■第二の鍵「自分で考え、自分で決める」

子供の頃って、多くのことを親や大人たちが決めてくれていましたよね。
どうすべきか親が判断し、親の言うとおりに行動し、そしてもしそれが上手くいかなくても最終的には親が何とかしてくれる。

でも大人になれば、基本的に自分の行動は自分で決めなければいけない。
でも自分で決めるのが苦手な人もいますよね。

これが例えば「今度の休みは何しようかな?」とか自分一人で勝手に決めるだけならいいんですが、仕事など他人も絡んでくることになると、どう決めたらいいかわからなくなる。

ではなぜ他人が関係することになると、急に決められなくなるのか?
他人が関係する事柄になると、「決断することが苦手だ」という人がなぜ急に増えるのか?

その理由は「責任を取りたくないから」ですよね。
自分以外の誰かが決めたことなら、もしそれが上手くいかなかったとしても、それを決めた人のせいにできるわけです。

つまり責任を負いたくないから、自分では決断せず誰かに決めてもらっているということ。
しかしこの世界に、全ての人間が満足のいく選択肢など存在しません。
どんな良い選択をしようとも、必ずどこかから不満の声は出てくるものなのです。

だから自分の置かれている立場において、その時点で最適だと思うものを自分の頭で考え、自分の責任において決断し、そして自分の意思で行動を起こさないといけない。

でもこういう話をすると、「なんで自分で決めないといけないの?これまで通り誰か他の人に決めてもらった方が楽だからいいじゃん。」そう思う人もいると思います。

実はですね、自分自身の行動を他人にいつも決めてもらうということをし続けていると、人間は自分で考えることをしなくなります。
自分はどうしたいのか?自分はどうすべきなのか?そういったことを考えなくなり、自分の意思=主 体性そのものが無くなっていくのです。

それはつまり、自分の人生の中から自分自身が消えてなくなるということ。
そうなると、当然ですが自分の人生も自分の手でコントロールできなくなるし、それこそ自分は一体何のために生きているのかさえもわからなくなっていくのです。

ちょっと厳しいことを言いますが、自分はどうしたいのか、その自分の意思を自分で汲み取ってあげることができない人には、他人の気持ちを汲み取ってあげることはできません。
仮に相手の表面上の意思を汲み取ってあげることはできたとしても、相手の本心や本音を汲み取ってあげることはできないのです。
自分の本音と向き合えない人は、他人の本音と向き合うことはできないし、自分の人生と真剣に向き合えない人は、真の意味で他人と真剣に向き合うこともできないのです。

ちょっと例えは悪いかもしれませんが、いい加減な生き方をしている人って他人に対しても同じくいい加減なことばかり言いますよね。

自分の人生の主導権を握るためには、 自分が向き合うべき問題は自分の頭で考え、そして自分の責任において決断し行動する。
これが必要不可欠です。

 

■第三の鍵「感謝や誉め言葉はすぐ相手に伝える」

僕ら人間というのは、人から称賛されたい生き物です。
あなたも人から感謝されたり褒められたり認められたりしたら、嬉しいですよね。

「感謝や誉め言葉を相手に伝える」というのは、良好な人間関係を築く上でお金も労力もいらない簡単かつ非常に効果のある方法です。

なので感謝や誉め言葉というのはすぐ相手に伝えるということを習慣づける、というか癖にしてください。
たったこれだけで、周囲との人間関係は目に見えて変わってきますから。

ただ、褒めたり感謝しても素直に受け取ってくれない相手もいるかもしれません。
でももし褒めることによって相手が仮に不機嫌になったとしても、あまり気にする必要はありません。
それはあなたの問題というよりは、相手の受け取り方の問題である場合がほとんどだからです。

例えば僕ら日本人の文化には、「謙遜することが美徳」という考え方があります。
特に年配の人などは褒められても「いえいえ、私など大したことありませんから」と言って謙遜する人がいます。
また、人から褒められても「褒め言葉を真に受けて喜んでしまったら、みっともない」と、喜びを隠すような人も結構いたりします。

または相手の自尊心が低い場合などは、いくら相手を褒めてもその褒め言葉を嘘だと受け止めてしまう場合もあります。
「俺の能力が低いと分かってて、からかってるんじゃないだろうか?」
「ダメな私に対して嫌味で褒めてるんじゃないか?」
そうやって素直に受け止めてくれない場合もあったりします。

ですが、感謝されたり褒められたりして嫌な気分になるような人は基本的にはいません。
人に感謝されたり褒められたりすれば、誰だって嬉しいものです。
子供も大人も高齢者もみんな、感謝や褒め言葉を欲しているのです。

ただ、褒め言葉といってもあからさまな嘘はいけませんよ。
例えばポッチャリな人に対して「メチャメチャ細くてスタイルいいですね!」みたいなのとか。

ということでまずは誰かに何かしてもらった時は、必ず「ありがとう」と感謝の言葉を相手にプレゼントする。
たとえどんなに小さなことであっても、たとえわざわざ感謝するようなことでなくても、感謝の言葉をその場ですぐ相手にプレゼントする。

褒め言葉など相手を称賛する言葉も、もちろん同じです。
相手の素晴らしい部分を見つけたなら、すぐに言葉にして相手にプレゼントしてあげる。

感謝の言葉や褒め言葉というのは、言い慣れていない内は気恥ずかしいかもしれませんが、一旦慣れると自然と言えるようになりますので、どんどん言ってどんどん慣れていきましょう。

 

■第四の鍵「したいことをして、したくないことは断る」

周囲との人間関係が良好な人というと、どんな人を思い浮かべますか?
一口に「周囲との人間関係が良好な人」といっても、いろんなタイプの人がいると思います。

でも周囲との人間関係が良好な人には、ある共通した部分があります。
それは「自己肯定感が高い」ということ。

ではなぜ周囲との人間関係が良好な人には自己肯定感が高い人が多いのか?
これは逆を考えれば答えは見えてきます。
つまり自己肯定感が低い人を見れば、なぜ人間関係が上手くいかないかが分かるということ。

人は常に、自分を基準にしてこの世界を見ています。
例えば自分に対して否定的な見方をしている人というのは、人間全体を否定的に見る癖がついています。

分かりやすく言えば、自分で自分を受け入れることができない人は「こんな自分が周りから受け入れてもらえるわけがない」と考えているわけです。
受け入れてもらえない前提で人と接するから、人間関係もギクシャクしていき上手くいかなくなるわけです。

反対に自分を受け入れることができている人は「人と人は分かり合える」という前提(基準)で生きているので、自分と同じく他人を受け入れることもできるし、自分も周りから受け入れられると信じている。
だから人間関係も自然と良好なものになっていくわけです。

つまり良好な人間関係を築くためには自己肯定感を高めていくことが重要だということ。
そして自分を肯定するというのは、イコール「自 分を好きになる」ということでもあります。

では自分を好きになるにはどうすればいいか?
そのための方法はいろいろあるでしょうが、自分を好きになるためには「自分のしたいことをする」というのが実はとても重要なのです。

例えばですが、毎日会社で嫌々働きながら「自分のことが大好きです!」とはならないと思います。
人は自分の行動が自分の価値観や目標に合っている時にこそ、自己評価も高くなります。
嫌々働いている状態では、当然ですが仕事に対する満足感や充実感は得られませんし、自分のやっている仕事に対して価値を感じることもできなくなります。

僕自身もかつて、嫌々仕事をしていた時期がありました。
その時、ふと思ったことがあります。
「こうして今やっている仕事は、俺にとって何の価値もない。自分にとって何の価値もない作業を毎日やり続けている今の俺に、存在価値ってあるのかな。」
この時の僕は完全に無気力状態に陥っていて、自分を好きになるどころではありませんでした。

このように自分の行動に対する自分の評価が低ければ、自己評価も同じく低くなっていくのです。
とは言ってももちろんやりたくないことをすべて断るなんてことは、現実的に考えて無理ですよね。

仕事に限らず日常生活やプライベートでも、やりたくないことや気の乗らないことは必ずあります。
大人であれ子供であれ、好き嫌い関係なくやらなければならないことは必ずあるものだし、嫌だからといってやるべきことを放棄するのは無責任以外の何物でもありません。

でも、無責任だと後ろ指さされるかもしれませんが言わせてください。
それでもあなたが本当に心底やりたくないと思うことがあったなら、それは断った方がいい。

僕はこれまで数多くの人を観察してきましたが、僕の見る限り人生に対して不満を持っている人というのは、やりたくないことばかりをしている人がとても多い。

あなたはどうですか?
やりたくもないことばかりを押し付けられたりしている、なんてことはないですか?
それこそ人から言われるままに何でもかんでも引き受けてしまっていると、自分の人生そのものがやりたくないことばかりに埋め尽くされてしまいます。

もちろん今の生活スタイルを急に変えることはできないかもしれませんが、少しずつでもいいので自分のための時間を持つようにしてください。
自分が好きなことをするための時間を作るようにしてみてください。

毎日少しずつでいいので、自分のやりたくないことを減らして、自分のやりたいことを増やしていく。
そうすることによって自己肯定感は高まっていき、だんだんと自分を好きになっていけるようになります。

 

■第五の鍵「自分の機嫌は自分で取る」

人というのは感情の生き物です。
怒ったり、泣いたり、笑ったり、喜んだり…僕ら人間には喜怒哀楽があり、時には感情に振り回されてしまうこともあります。

でも同じ出来事であっても、それによって腹を立てる人もいれば、逆に喜ぶ人もいる。
例えば仕事でミスをして上司から指摘を受けた時「わざと嫌味を言いやがって」と不機嫌になる人もいれば、「わざわざ教えてもらえて助かった」と感謝する人もいる。
人によって反応は違うわけです。

同じ出来事なのに、なぜその人間の反応は変わってくるのか?
それは「その出来事に対し、その人の解釈の仕方が違うから」です。

起こった出来事や投げかけられた言葉に対し、自分がどう受け止め、どのような意味づけをするか。
上司からミスを指摘されて「嫌味を言われた」と受け止めるのか、それとも「親切に教えてくれた」と思うのか。

自分に降りかかってくる問題に対し「何でこんな面倒なことが起こるんだ」と捉えるのか、それとも「この問題を乗り越えたら今以上に成長できるかも…これは飛躍のチャンスだ!」と捉えるのか。

重要なのは「何が起こったか?」ではなく、「その起こった出来事に対してどのような意味づけをするのか?」ということ。
すべては自分の捉え方次第なのです。

つまり他人の言葉や態度でイライラしたり、物事がうまくいかなくて焦ったり不安になったりするのも、相手や周りが原因なのではなく自分の捉え方がそういったネガティブな感情を引き起こしているのです。
だから僕らのやるべきことは、気に入らない相手を論破することでもなく、物事が思うように進まないからといって何かに八つ当たりすることでもなく、ただ「物事に対する自分の解釈を変えること」。

いつも機嫌が悪い人は、自分に起こる出来事をネガティブに解釈しているからストレスばかりが溜まって苦しくなっていくのです。
逆にいつも機嫌がいい人は、自分に起こるどんな出来事もポジティブに解釈してしまうから人生もどんどん楽しくなっていく。
つまり自分の機嫌が良いのも悪いのも、人生が楽しいのも楽しくないのも、実は自分次第だということ。

同じ出来事に対して腹を立てる人もいれば喜ぶ人もいるように、自分の解釈次第で自分の気分や感情も自分でコントロールできる。
自分の機嫌は自分で取ることができるのです。

自分で自分の機嫌を取ることができるようになれば、どんな状況でも人生を楽しむことができるようになります。
自分の思考や感情や行動、そして自分の人生を、自分の思う理想の形にコントロールすることもできるようになるのです。

そしてそれと同時に、相手の機嫌に関しては基本的に相手自身が取らないといけない。
例えばバスや電車の中でおじいちゃんが立っていたとします。
そこで若いあなたは「どうぞ、 お座りください」と席を譲りました。
それに対し「ありがとうね」と感謝して座るおじいちゃんもいれば、中には「ワシを年寄り扱いしおって!」と不機嫌になるおじいちゃんもいる。

ではおじいちゃんが不機嫌になった場合、その責任はあなたにあるのでしょうか?
違いますよね。「年寄りだとバカにされた」と解釈したおじいちゃん自身の責任ですよね。

例えば良かれと思って言った言葉に対し、相手が不機嫌になったとする。
すると多くの人が「なんか気に障ることでも言ってしまったかな…」と気にしてしまうと思います。
これは言った側の人間の責任でしょうか?

もちろん相手に対する気遣いは必要でしょう。
相手の気持ちも、ちゃんと考えてあげるべきだと思います。

でも相手の気持ちを考えた上で発言したにも関わらず、それでも相手が不機嫌になってしまったのなら、それは相手の責任です。
あなたの言葉をネガティブに解釈してしまった、その相手の責任です。
だから必要以上にあなたが気に病む必要はありません。

自分の人生は自分でしか背負えないように、相手の人生は相手自身にしか背負えません。
手助けすることはできても、結局はその人間が自分の手で責任をもって背負うしかないのです。
たとえそれが愛する人や自分の子供であっても、です。

ということでここまで「自分の解釈を変えることによって、自分の機嫌を自分で取る」という話をしてきましたが、「自分の機嫌を取る」とは、言い換えると「自分の感情をコントロールする」ということ。
そして自分の感情をコントロールするためには、自己肯定感が必須となります。

例えば「自分はなんてダメな人間なんだ、ホント情けない…」こう思っている状態で感情をコントロールなんてできないですよね。
勘違いしてほしくないのですが、自分の気持ちを無理やりに抑え込むことが感情コントロールではありません。
むしろ今の自分を認め受け入れることにより、感情はコントロールできるようになるのです。

次の言葉を、声に出して読んでください。
そして自分に対して宣言してあげてください。

良い部分・悪い部分・あらゆる部分を含め、今の自分を認め、否定することなくすべて受け入れる。
そして、そんな自分の心と体でこれからの人生を戦っていく覚悟を決める。
何があろうと絶対に自分を見捨てないし、人生を絶対に諦めたりしない。
たとえ上手くいかないことが続いても、どんなに情けない姿をさらそうとも、私はいつでも私の味方であり、私は私自身の可能性をどんな時も信じ抜く。

ここが良い・ここが悪いなどと区別することなく、現状の自分の全てを受け入れる。
そして、その自分の心と体で戦っていく覚悟を決める。

これにより自己肯定感は高まっていき、感情もコントロールできるようになっていきます。

 

■第六の鍵「他人に期待しない」

人という生き物は身勝手なもので、
「普通ならこうするだろう」
「あの人はこのようにしてくれてるだろう」
と自分が望む行動を相手がしてくれるものだと勝手に思い込むもの。

ですが、当然ですが相手はこちらの思うように動いてくれるとは限らない。
その結果「裏切られた」と勝手にガッカリするわけです。

そして相手は自分の知らない所で勝手に期待された挙句、勝手にガッカリされ失望される。
場合によっては理不尽に文句まで言われてしまうわけです。

つまり「相手に期待する」とは、ある意味こちらの都合で相手を勝手に追い込む行為と言えるわけです。
相手としては迷惑な話ですよね。

ではもしあなたが相手から期待される側だったとしたら、どうでしょう。
仮にあなたが周りのあらゆる期待に応えることが生き甲斐なら、いいでしょう。
でも望んでもいないのに勝手に期待され、プレッシャーをかけられ続けたなら、しんどいですよね。
やりたくもないのに相手の勝手な期待に応えながら生きるというのは、いわば「他人の操り人形」として生きるのと同じこと。
例えば親の期待に応えるために 、自分の望んでもいない生き方を強制される子供など、まさにその典型例です。

そうやって自分の意思ではなく他人の期待に応えるために生き続けた人間は、ある時ふと思います。「自分はいったい何のために生きているんだろう」と。

期待というのは、他人に対してするものではありません。
期待とは、自分に対してするものです。

自分の可能性を信じ、
「上手くいかないこともあるかもしれないが、でも自分なら必ず最後は上手くいく。自分ならきっとやり遂げられる。」
そうやって自分を信じ、自分に期待する。

自分が望んでもいないのに、他人の勝手な期待に応える必要はありません。
でも自分に対する期待に対しては全力で応える。
他人にではなく、自分に期待するのです。

 

■第七の鍵「一部の人間に嫌われても気にしない」

あなたは他人から好かれたいですか?
好かれたいですよね。
わざわざ「他人から嫌われたい」なんて思う人はいないと思います。
でも残念ながら、あなたが周りの人間全てから好かれることは決して無いでしょう。

例えば好感度ナンバーワンのタレントやアイドルにだって、アンチは必ずいます。
歴史上の偉人や聖人と呼ばれる人にさえ、アンチは絶対にいるわけですから。

ところであなたは「2:6:2の法則」というのを知っていますか?
別名「働きアリの法則」とも呼ばれますが、ビジネスにおいて組織の人数の多い少ないに関わらず「2割の人は優秀な働きをし、6割は普通、残りの2割は良くない働きをする」というものなのですが、これは人間関係全般についても当てはまると言われています。

つまり「2割の人間はあなたに対して好意を持ち、6割の人間はどちらでもない、そして最後の2割はあなたを好きになってはくれない」ってことです。
だからあなたがいくら頑張って全ての人から好かれようとしても、一定数(2割)からは嫌われてしまうということ。

でもここで、多くの人が自分を嫌う2割の人に注目し、その2割から何とか好かれようと頑張ろうとします。
そして好かれるために無理して相手の意見や考えに合わせるなど、自分を捻じ曲げてまで相手に合わせようとする。

でももしあなたが自分の価値観や生き方を変えることによって2割の人たちから好かれることに成功したとしても、その時点でもうあなたは元のあなたではありません。
変わってしまったあなたに対し、また同じように2割の人間が好意を持ち、6割の人間がどちらでもない、そしてまた新たに2割の人間があなたを嫌い始める。

…意味ないですよね。こんなことを繰り返していたらあなたはどんどん擦り切れていき、最後は自分がどんな人間なのかもわからなくなってしまうでしょう。

あなたが注目すべき相手は、あなたを嫌っている2割ではなく、あなたに好意を持ってくれる2割の人たちに対してです。
どんなに頑張ったってあなたを嫌う人間は一定数は必ず現れるわけだから、その人たちを相手してても意味が無い。

それよりもそのままのあなたを受け入れてくれる人たちと仲良くした方が人生も楽しく充実するし、その方が結果的にあなた自身の魅力もより引き出され、今以上に魅力にあふれた人間にもなれるのです。

そしてそんな魅力的になったあなたを見た6割のどちらでもない人も、次第にあなたに興味を持ち始め、あなたを中心とした人間関係の輪は広がっていく。

合わない人に無理に合わせる必要はありません。
無理に自分を変える必要もありません。
あなたと合う人たちとより良い関係を築いていくことに、あなたのエネルギーを注いでいきましょう。

 

■第八の鍵「今の自分に自信を持つ」

昔の僕は、いわゆる完璧主義者でした。
「こんな自分じゃダメだ。こんなこともできない自分は最低だ。今の自分には何の価値もない。だからもっともっと頑張らないといけない。」そうやって努力し続けてきました。

一見すると向上心の高い人間に見えますが、これって実は自分を否定し自分を痛めつけているようなものであり、結局は努力することがつらくなり続かなくなってしまうんですね。

それでですね、これからはこのように考えるようにしてください。
「現時点での自分が、自分史上最高の状態である」と。

あなたもこれまでの人生、いろいろあったと思います。
楽しいことばかりでなく、つらいこと、悲しいこと、もしかすると苦しいことから逃げ出した時もあるかもしれません。

でもどんなにつらくとも、今こうしてあなたは生きている。
生きることを選択し、人生を歩き続けている。

人生を振り返ってみると、もしかすると「ろくでもない人生を歩んできたな」と思う人もいるかもしれない。
でもあなたはここまで生きてくる間に、良い悪いにかかわらず様々な経験を積んできたはず。
5年前よりも、3年前よりも、1年前よりも、今の自分が最も多くの経験を積んでいる。

そして様々な経験を通じていろんなことを考え、 試行錯誤してきているはず。
今はまだその経験が生かされていない・花開いていないかもしれませんが、間違いなく過去のどの自分より今現在の自分の方が人間として深いレベルにいるのです。

僕自身も、これまでろくでもない人生でした。
まさに黒歴史と言えるような人生を歩んできました。
でも、まるで役にも立たないと思っていたその当時の経験が、今では僕にとって大きな武器となってくれています。

昔の黒歴史があったからこそ、その経験を元にこうして人間関係の情報発信ができるようになった。
さんざん苦しみ、情けない思いをしてきたからこそ、他人のつらい気持ちにも敏感に気づけるようになった。

これまであなたが積んできた経験・あなたがやってきたこと・あなたが考えてきたことには全て意味があり、決して無駄にはならないのです。
そしてその価値ある経験を最も多く積んだ今の状態のあなたこそが、自分史上最高の自分なのです。

現時点での自分が、自分史上最高の自分。
そしてそこからさらに努力し、進化し続けていく。
自分史上最高の自分を、日々更新していくのです。

ただここで注意してほしいのが、自分がどれだけ進化・成長したかを確認するための基準は、 常に過去の自分です。
他人と比べるのではなく、比べる相手は過去の自分です。

というのが、人は自分のレベルを確認しようとする時、自分にとって理想的な最高の相手と比較しようとするんですね。
例えばあなたは歌が上手くなりたいとする。
すると「どのくらいのレベルであれば上手いと言 えるのか?」と考えた時、多くの人がテレビに出ているプロの歌手や路上ライブをしているプロ顔負けの上手な人を思い浮かべるんですね。
そうしてそんな人と比べて「私はなんて下手なんだ」と勝手に落ち込み挫折していくわけです。

また営業などでも、はるか先を行く有名なトップセールスマンと自分を比べて「自分はなんて営業センスがないんだ」と勝手に自己嫌悪に陥る。
これではあなたがその道のトップにでも立たない限り、ひたすら自己嫌悪という名の地獄が続くことになります。

そして冷静になって考えてみてください。
いわゆる特定の分野でトップを走り続けている人って、変わり者が多いと思いませんか?
この部分は飛び抜けてすごいけど、他の部分は見習いたくないなぁ、みたいな。

例えばX(旧Twitter)を買収したイーロン・マスクやソフトバンクの孫正義さんなんかは世界的にも優れたトップビジネスマンですが、一方では二人とも自己主張が強く他人の意見にもあまり耳を傾けず独裁的とも言える部分があるため、周囲から反発を受けたり嫌われたりすることもよくあります。

また音楽において世界に最も大きな影響を与えたマイケル・ジャクソンは、彼の才能に対する称賛とは裏腹に、整形による外見の変化や子供との関わり方やプライベートでの振る舞いなど数多くの問題を抱え、周囲との人間関係も上手くいってなかったようです。

挙げていけば他にもいっぱいありますが、つまり「あらゆる面で優れている人などいない」ということ。
だからその相手の最高に優れたほんの一部分だけを切り取って自分と比較して「自分は劣っている」なんて落ち込むことはないんですね。
それこそ自分があらゆる全ての面において世界最高のレベルに達しないと満足できない、みたいな話になってきます。

比べる対象は他人ではなく過去の自分。
昨日の 自分と比べるのです。

現時点での自分自身が自分史上最高の自分であり、昨日の自分よりどれだけ進歩できたか?どれだけ前に進めたか?そうやって自分史上最高の状態をさらに更新していくのです。
自身の進歩の過程に注目し、進歩の過程を楽しむのです。

そうすることによって、目標にたどり着くまでの長く苦しいはずの道のりさえも楽しめるようになっていきます。

 

■第九の鍵「完璧を求めない」

学校のテストで100点を取るのって大変ですよね。
70点や80点なら努力次第で達成できそうですが、100点となるとわずかなミスも許されないので難易度は一気に上がります。

ではこれが仕事になると、どうでしょう。
仕事で100点って、どういう状態でしょうか?
どこまでやれば仕事で100点満点になるのでしょうか?

内容にもよるでしょうが、どこまでやれば完成なのか?どこまで仕上げればその仕事は完了なのか?どの程度のレベルまでに仕上げれば100点なのか?仕事における完成の形は、その人の置かれている立場やその人の考えによって変わってくるのではないでしょうか。

またお客さん相手の商売であれば、お客さんの価値観やお客さんの求める機能によって商品の評価の仕方も変わってきます。
つまり仕事においては100点満点という状態は存在しないということ。
またあなたにとっての100点満点が仮にあったとしても、それがそのまま周りの人間にとっての100点満点とイコールになるとも限らないということ。

そしてこれは仕事に限らず、僕らの人生のあらゆるものにも言えます。
スポーツ、映画や音楽などの芸術分野、育児、健康管理、政治の政策、 会社経営、人間関係…どれをとっても万人が認める100点満点など存在しません。

でも人は100点満点が存在すると勘違いし、
「100%の完成度でなければならない、100%の完成度でなければ価値が無い」
多くの人がそう思い込んで前に向かって踏み出すことをためらってしまっている。

例えば「資料やレポートの内容を完璧にしなければならない」と思いすぎて、いつまでたっても完成させられないとか。
せっかくダイエットの計画を立てたのに、完璧に計画を進めることができずにダイエットそのものをやめてしまうとか。
試験勉強で理解が浅い箇所にこだわりすぎるあまり、効率的な学習ができずに思うような結果が出せなくなるとか。
新しい挑戦をする際に「完璧に準備が整ってからでないと始められない」と思い込み、その準備ばかりしていていつまでたっても始められないとか。

この文章だって、もちろん全然100点満点などではありません。
今も読み返すたびに気になる箇所が出てくるし、自分が100%納得のいくものに仕上げようとすれば、いつまでたっても皆さんの前に出すことはできません。

もしあなたも「完璧じゃないといけない」と思っているなら、今後はまずは何事も80点の完成度で一旦完成させるようにしてみてください。

もちろん100点を目指すのはいい事です。
ですがあなたの思う100点のうち、80点ぐらいの完成度までできたなら、それを完成品として一旦仕上げてください。

もしそれで納得がいかないなら、その後改善を繰り返しながら完成度を上げていくのです。
または次の機会で、さらに完成度の高いものを作っていけばいいのです。

例えば優秀な技術者たちが作ったパソコンやゲームにだって必ず何かしらのバグがあるし、一旦完成させて世に出した後にアップデートしながら改善していってますよね。
それと同じです。

それにですね、もし今のあなたにとって100%完璧なものが仮に作れたとしても、その後さらに努力し経験を積み成長した数年後のあなたから見たら、今のそれは100点満点のものではないはず。
つまり進化し続ける僕らにとって、完璧な100点満点は存在しないということ。

人生とは、まさに実験そのもの。
試してみて、その結果を検証し、改善してまた試してみる。
人生はこの繰り返しです。
どんなことであっても、まずは試してみなけれ ば何も始まらない。

まずは一歩踏み出してみることが何よりも大切。
そして行動し続けることが大切です。

さぁ、勇気を出して踏み出していきましょう!

 


 

■ということで

ということで、人間関係を改善し自分の人生の主導権を自らの手に取り戻していくための9つのファクター(要素)について、僕自身の経験やこれまでの学びを踏まえたうえで話させてもらいました。
今後のあなたの人生において、何かしらお役に立てれば嬉しく思います。

では。

仁より