「9つのピース」第9話

9-pieces

■9つ目のピース

人間関係を劇的に変える魔法の言葉

今回は、「僕を取り巻く人間関係を劇的に変えてくれた、たったひとつの魔法の言葉」という内容でお話しします。

若い頃の僕は、とても我の強い人間でした。仕事に対するこだわりも強く、職場でも常に自分のやり方を押し通し、自分と違うやり方は認めない。例えば誰かが気を利かせて僕の仕事を代わりにやってくれていても、僕が納得のいくものでなければ全て一から自分でやり直してしまう。

ただ、当時の僕は仕事に対する姿勢は誰よりも真面目で真剣であり、納得のいく仕事をするためには努力や労力は一切惜しまないほどだったので、僕のやり方に口を出す人間はほとんどいませんでした。ただ、口は出されないのですが、僕に協力してくれる人間も正直あまりいませんでした。つまり当時の僕は周りの仲間から認められてはいても、僕は誰からも受け入れてもらえてなかったということ。

いくら真面目に一生懸命頑張っても、周りの意見や気持ちを無視して個人プレーにばかり走る僕のやり方は周囲から次第に反発を受け始め、周囲との摩擦は強まる一方でした。冷静に考えれば、これは当然の結果です。でも当時の僕は、それがまるで理解できてなかった。

「お客さんのためを思ってこんなに頑張っているのに、周りはなぜ理解してくれないんだ?」
「会社のことを考えて仕事のクオリティを全力で上げていこうとしているのに、周りはなぜ誰も協力しようとしてくれないんだ?」
もう完全に一人で空回りしてしまっていました(苦笑)

でもある時、そのことを僕に気づかせてくれたある出来事がありました。
その会社では、僕より一週間早く入社した先輩がいたのですが、事あるごとにこの先輩と僕はぶつかっていました。この先輩は僕より年上で社会人としてのキャリアも僕より長く、そして僕以上に我が強く上昇志向の強い人間でした。

携わっている仕事の知識に関しては僕が上、でも社会人としてのキャリアと経験は向こうが上。そして互いに我が強く、どちらも一歩も引かない。毎日がもうケンカ状態で、一緒に居合わせると仕事にもならない状態でした。

そんなある日、仕事中に偶然に発した僕の「ある一言」により、それ以降の僕と先輩の関係はガラッと一変することになりました。犬猿の仲だった僕ら二人の仲が、僕のたった一言で長年共に戦ってきた同志のような関係に変わってしまったのです。

その一言とは、僕と先輩が仕事に関する議論で激しくぶつかり合っている時に発した言葉です。僕が発した言葉とは、一体どんな言葉なのか?あなたには分かりますか?良かったら、少し考えてみてください。答えは下にスクロールしていくと出てきます。

 

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答えは

「うん、分かるよ」です。

 

 

「は?なんじゃそりゃ!」
こんな声が聞こえてきそうですね(苦笑)

でもこのたった一言を相手に向けて言っただけで、それを言われた先輩の表情はみるみる変わっていったのです。

実はこの先輩、先ほども言ったように僕以上に我が強く、同僚だけでなく上司に対しても自分のやり方を押し通して一歩も引かない、そんな仕事のやり方をしていました。だから僕以上に周りからの理解が得られない状態で仕事をしていたのです。

誰からも理解してもらえない。誰からも手を差し伸べてもらえない。そんな敵だらけの中で、僕だけが自分の意見をちゃんと聞いてくれて、そしてそれを理解してくれた。自分の気持ちを、分かってくれた。

その後、上昇志向の強いこの先輩はどんどん出世していきましたが、どれだけ出世しても常に僕を自分のすぐ下に付け、僕のことを離しませんでした(苦笑) 何かあれば僕に意見を聞き、重要な仕事は僕に任せる。そして僕がピンチに陥った時は、どんな手段を使ってでも僕を助けてくれる。まさに損得勘定や利害関係を超えた信頼関係が、僕らの間で結ばれていました。

そしてこの件を機に、僕の仕事のスタイルも全く変わっていきました。かつては周りを無視して自分勝手に一人で仕事をしていた僕が、いつしかみんなと協力し、みんなの中心となって仕事を動かしていける存在へと成長していくことが出来ました。

人が最も欲しているものとは

あなたの人生において、最も辛いことって何ですか?

家族、友人、学校、職場…僕らは様々な人間関係の中で生活しています。そういった人間関係の中で最も辛いと感じること。生きる気力を失ってしまうほどの辛いこと。生きる希望を失ってしまうほどの辛いこと。

これまで僕は、人生や人間関係で散々苦しみ続けてきました。人間関係だけでなく、経済的な部分でもずいぶんと苦しみ、死ぬことも何度も考えながら生きてきました。そんな僕が、最も辛いと感じたこと。

それは「誰からも理解されないこと」です。人生において誰からも理解してもらえない、これほど生きる意味を見いだせないことは無いと僕は思っています。そして誰からも理解してもらえないとは、言い換えると「誰からも愛されないこと」でもあり「誰からも必要とされないこと」でもあります。

「生きる意味」は、人それぞれだと思います。でも、想像してみてください。あなたの家庭・友人・学校・職場で、誰一人としてあなたを理解してくれないし、分かろうともしてくれない。何を言っても全否定され、誰もあなたの話をまともに聞いてくれようとさえしない。…心が折れませんか?

人が心の底から一番求めているもの、それは「他者からの理解」なんです。これは子供であろうと大人であろうと変わりません。同じです。
でも多くの人が、他人の考えや行動に対し、
「いや、それは違うよ」とか
「それはお前が間違ってるよ」とか
「それじゃダメだから、こうしろよ」
といった具合に相手を否定し、相手の気持ちもまるで無視し、一生懸命アドバイスしようとします。

もちろん相手にアドバイスをしてあげるのは決して悪いことではありません。むしろそれによって良い結果に結びつくことももちろんあります。でもどんなアドバイスをするにしても、一番大事なのはまず相手を理解してあげること。相手の置かれている状況を理解し、相手の気持ちに共感してあげること。人が心の底で一番求めているのは、理解されることなのですから。

例えばですが、自分の考えや行動を100%完全に全否定された上でアドバイスされたとしたら、それでもあなたはそのアドバイスを素直に聞く気になりますか?またはあなたの考えや気持ちを全く聞いてくれようともせず、相手から一方的に意見を押し付けられたとしたらどうです?腹が立ったり悲しくなったりして、相手の話を素直に聞く気になんてなれませんよね。

では反対にあなたの立場や状況に理解を示し、あなたの気持ちに共感し理解してくれた上でアドバイスをしてくれたなら、どうです?きっと素直に聞く気になれるのではないかと思います。

どんな状況であっても、まずは相手の話をちゃんと聞いてあげた上で「うん、なるほど。分かるよ。」という言葉を最初に相手にプレゼントしてあげるのです。たったこれだけで、今後の相手との信頼関係はまるで変わってくるはずです。

また、相手に対して「うん、分かるよ」と言うだけでなく、その前に相手の言った言葉をそのまま繰り返して言った後で「うん、あなたの考え・気持ちはよく分かるよ」と言ってあげると、より相手の心に突き刺さります。単に相手の言葉を繰り返して言っただけなのですが、たったそれだけで相手からすれば「自分のことを理解してもらえた」と感じてしまうものなのです。ただ単に相手の話した言葉を繰り返すだけ。たったそれだけで驚くほど相手から信頼され、心を開いてもらえるようになるのです。

また、特に相手の感情の部分に共感し、理解を示してあげてください。
「悔しかったね」
「悲しかったね」
「辛かったね」
「苦しかったね」
「それは腹が立つよね」
そういった感情の部分に共感を示してあげると、その後のあなたの言葉はより相手の心に届きます。

多くの人が思い違いをしているのですが、人というのは自分の話を聞いてもらいたいのではなく、自分の気持ちを理解してもらいたいのです。それが分からず多くの人は相手の話す内容にばかり意識を集中させ、相手の言った言葉に対し「どんなコメントを返そうか?」ということばかり考えています。

良好な人間関係を築きたいのであれば、ハッキリ言って気の利いたコメントやアドバイスなんてものは要らないのです。相手の話をただ聞き、相手の気持ちに共感し、そして「うん、分かるよ」と相手を受け入れ理解してあげる言葉をプレゼントしてあげればいい。たったそれだけでいいのです。なぜなら人の心は、人から理解されることによって幸せを感じるように出来ているからです。

人と人とを結び付けてくれる絆

人というのは誰しも承認欲求によって操られています。いわゆる「他人から認められたい、理解されたい」という心理です。

「誰もが、人から理解されたいという願望を抱えながら生きている」

人付き合いが上手な人、人を使うのが上手い人、誰からも好かれるような人、そういった人たちはみんなそれを理解し、対人関係に活かしているからこそ人付き合いが上手なのです。

そして、これまで良好だった人間関係が崩れ始める時というのは、「互いに相手を理解しようとしなくなった時」です。

先ほども言ったように「誰もが、人から理解されたいという願望を抱えながら生きている」わけだから、相手を理解しようとせず否定をしてしまうほど、当然ですが人間関係は上手くいかなくなります。人間関係が上手くいかない人や、周りの人間とよく衝突してしまうような人ほど、自分からは相手のことを理解しようとせず、自分の意見や気持ちばかりをゴリ押ししていたりします。

たとえ相手と自分の考えが違ったとしても、まずは相手の気持ちを受け止めてあげる。一旦受け入れてあげる。相手の気持ちに対して理解を示してあげる。それをした上で、自分の意見を主張するのです。

相手の気持ちを理解しようとせずに突っぱねてしまうから、相手も焦って冷静さを失い、感情的になって同じように突っぱねてくるのです。

相手とどんな関係であっても、まずは相手に向かって
「うん、分かるよ」
この言葉をプレゼントしてあげてください。たったこれだけで、あなたを取り巻く人間関係は目に見えて変わるはずです。

ただ、こういった話をしても「いや、相手のことを本当に理解できているのならいいんだけど、もし相手のことを理解できていないのに分かるよなんてことは言えないよ。それは相手に対して不誠実なんじゃないの?」といった意見も出てくると思います。

その意見、確かに分かります。実際に僕も、理解できない相手はやはりいます。いますが、それでも僕は「うん、分かるよ」という言葉を相手にプレゼントします。

極論を言えば、他人の事を100%完全に理解することなど誰にも出来ません。と言うか、自分自身の事でさえも自分できちんと理解できないのが僕ら人間です。自分の事も理解しきれないのに、他人の事を完全に理解するなんてこと、出来るわけが無いのです。

分からなくていいのです。理解できなくてもいいのです。相手を理解しようとする姿勢こそが大事なのです。僕が「うん、分かるよ」という言葉を発する時というのは、ニュアンス的には「あなたのことを理解する努力を全力でするよ」という意味合いで使っている場合がほとんどです。相手のことを100%理解した上で「うん、分かるよ」と言っているわけではないのです。

重要なのは「相手を理解する事」よりも「相手を理解しようとする気持ちがあるかどうか」なのです。もしあなたが相手のことを理解してあげようという気持ちがあるのなら、「うん、分かるよ」という言葉を相手にプレゼントしてあげてください。

人と人を結び付けてくれる絆とは、互いに分かり合おうとする気持ちによって作られるもの。自分を理解してくれようとする気持ちこそが嬉しい。それを決して忘れないでください。

 

ということで、今回の話はこれで終わります。ここまで9回に分けて【あなたの人生を成功へと導くために必要な「9つのピース」】の話をしてきましたが、ここで話したかった内容は一通り話させてもらいました。ここまで僕の話にお付き合いくださり、本当にありがとうございます。

次回はいよいよ最終回です。伝えたいことは全て話したと言いましたが、最後にあなたの人生にとって、とても重要になるであろうお知らせをさせていただこうと思っています。ラストの1回、見逃さずに楽しみにしておいてください。

ではまた明日、お会いしましょう。

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