「9つのピース」第3話

9-pieces

■3つ目のピース

自分に嘘をつくな

前回の話では、あなたの世界の中心にいるのはあなた自身であり、自分を中心に据えて生きていくことこそが自分の人生を生きることだ、という話をさせていただきました。

自分以外の人間や世間一般の常識に従って生きるということは、他の誰かの人生を生きていることと同じであり、自分の望む人生・自分の望む生き方を実現するためには、あなた自身の中にある常識・価値観・ルールに従って生きなければなりません。

では、ここで質問です。

ところであなたの中にある常識や価値観、それは一体どんなものですか?自分は一体何をしたいのか、どんな生き方・どんな人生を歩みたいのか、あなたは明確に即答できますか?

もしかして、自分がどんな生き方をしたいのか、どんな人生を歩んでいきたいのか、あなたは分からなくなってしまっているのではないですか?この質問にもし即答する自信が無いのなら、このままこの話を読み進めてください。

これから、自分の常識に生きるために必要なこと、あなたの望む人生・あなたの望む生き方を実現するために、外すことの出来ない重要な話をしていきます。

本日の話のキーワードは【自分に嘘をつくな】です

 

ところで「自分の常識に生きろ」と言われても、正直いまいちピンとこないんじゃないかと思います。そもそも自分の中には、どんな常識や価値観があるのか?具体的に、自分はどんな生き方をしていきたいのか?自分の人生は今、一体どこに向かって進んでいるのか?

実際に自分の常識に従って生きている人というのは、正直言って少ないのではないかと思います。みんな、自分の考えがあるようで無い。特に僕ら日本人というのは、世間一般の常識から外れることを極端に恐れます。

自分の意見なり考えなりを主張しているように見えても、実は周りの目を意識し、反発を受けないよう無難な発言ばかりをしています。みんな自分のことを信じ切ることが出来ず、周りの人間の顔色ばかりを窺い、その他多数から外れないことばかりに神経を尖らせ、その結果自分を見失ってしまっている。

つまり多くの人は、世間一般のその他多数の常識や価値観に従って生きている。周りから白い目で見られないことばかりに意識を集中させ、行動や考え方までも他人のものをコピーしてしまっているのです。

そうやって他人の常識・価値観に従って生きていると、どうなると思います?

すると、やがて人は自分の頭で考えたり判断したりしなくなります。いろいろなことを、純粋に自分の心で感じることが出来なくなります。その結果、自分の気持ちや自分の中にある本心も見えなくなっていきます。

そして最後には、自分の中にある価値観が、本当に自分のものなのか、それとも他人のものなのかも分からなくなる。自分自身が消えてなくなり、一体自分が何を望んでいるのかさえも分からなくなってしまうのです。

あなたはどうですか?

あなたが今携わっている仕事、あなたの今の生活、あなたの人生、あなたの生き方…それはあなたが本当に望んだものですか?

・こうやるのが当たり前
・こうするのが普通
・みんながしているから、同じようにしないといけない

そうやって周りの人間の常識に合わせて、あなたは自分の取るべき行動を決めてきたんじゃないですか?いや、行動だけでなく考え方や感覚までも周りと同じになるよう、無意識に合わせてきたのではないですか?あたかも保護色によって周りの景色と同化してしまうカメレオンのように。

「みんなと違うことが怖い」
「周りと違うことをして白い目で見られたくない」

そうやってみんな、周りの目ばかりを気にしながら生きています。そうやってあなたもこれまでずっと、自分を欺き、自分に嘘をつきながら生きてきたのではないですか?

自分の心を偽らず、自分の気持ちに正直にならなければ、自分の本心というものは見えてきません。自分の中にどんな常識や価値観があるのかも、分かりません。自分の本心を知るためには、自分の心に正直になり、自分に対し誠実な態度でもって向き合うのです。

とは言っても、自分に正直になるとはどういうことか?具体的に、どのようにしていけばいのか?自分の本心を見つけ出すというのは、簡単なようで難しいものです。
そこで、僕がこれまでの人生経験から導き出した「自分の本心をキャッチする方法」をお教えしようと思います。

自分の本心・本音をキャッチするためには、その時その時の自分の気持ちの動きに気づいてあげなければなりません。そのためのポイントは感情です。

心の状態は、必ず感情として表面に現れてくるものです。心が乱れれば、必ず感情が乱れる。そして感情が乱れた時にこそ、あなたの本心や本音が現れる。

自分の本心を知るためには、あなたの感情にアンテナを張り、感情の動きをよく観察していくのです。

例えば人と話していて相手の言葉や態度にムッとしてしまったり、自分の想定外のことが起こってつい焦ってしまったり、または他人の成功を嫉妬したり、逆に他人の失敗を見て喜んでしまったり…

その時その時で僕らの感情って動いていますよね。そういった感情の動きって、普段はあまり気にせずそのまま流してしまうじゃないですか。自分の感情がどんなことに反応したのか、どういった反応をしているのか、いちいち気にする人はほとんどいないと思います。まずはそういった感情の動きにアンテナを張り、自分の感情の動きに自分で気づいてあげるのです。

例えばイライラしたり、頭に血が上っていたら、
「あぁ、俺は今、腹を立てているんだな」

他人が結果を出して評価をされる姿を見て嫉妬心が沸き上がってきたら、
「俺は今、心の中で悔しがっているんだな」

周りから傷つくことを言われて落ち込んでいるなら、
「俺は自分のことを理解してもらえず、悲しんでいるんだな」

何も結果が出せず、気分が落ち込んでしまっているなら、
「俺は自分の無力さを感じて、情けない思いをしているんだな」

こうやって、その時の自分の思いをスルーせずに、立ち止まってちゃんと気づいてあげるのです。自分の感情の動きにアンテナを張り、自分の気持ちをきちんと受け止めてあげるのです。

そして、この時に注意してほしいことがあります。それは、「その時の自分の中に起こった感情を決して否定しないこと」です。

例えば他人の言葉や態度で腹を立ててしまった時、
「こんなことぐらいで腹を立ててはいけない」とか、
「何で俺がそんなこと言われないといけないんだ」とか、
思ってしまうことがありますよね。

または他人の失敗をつい喜んでしまった時など、
「人の失敗を喜んでしまうなんて、人として間違っている」
などと思ってしまうことなんかあると思います。

でも自分の中に起こる感情に対し、「良い・悪い」「正しい・間違っている」といった判断はしないでください。自分の感情に対し善悪の判断をせず、自分の中に起こった感情をそのまま受け止め、冷静に観察してみて下さい。

自分の気持ちを否定すれば、自分の本心は決して見えてくることはありません。道徳的な考え方や変なこだわりは、時に自分の目を曇らせ自分の心を覆い隠してしまうことがあります。だからそういったことはとりあえず脇に置いておき、まずは自分の中にどんな感情が起こっているのかに気づき、認識することに意識を向けるようにしてください。

自分が今何を感じているのか、自分の中にどんな感情が沸き起こっているのか、ということに気づくことが出来るようになれば、次のステップです。

「なぜそう感じたのか?」を、あなた自身に問いかけてみて下さい。

あなたの中に起こった怒り、悲しみ、不安、焦り、後悔…それらの感情が、どんな状況で起こっているのか?誰のどんな言葉や態度で、そう感じたのか?そう、あなたが自分自身のカウンセラーになったつもりで、聞いてあげるのです。

例えば会社の会議や学校の発表の場、または家族や知人との話し合いの場やたわいもない会話などの場。そういった場で、自分の意見や考え・思いなどを言ったら反対意見や批判的なことを言われて腹が立ったとする。

なぜ自分は腹が立ったのか?
一体何に対して怒りの感情が湧きあがっているのか?
自分に問いかけてあげてみて下さい。

するとおそらく、
・自分の考えを認めてもらえなくて悔しかった
・自分を受け入れてもらえなくて悲しかった
・馬鹿にされたように感じて悔しかった
そういった感情が自分の中にあることに気づくと思います。

ではなぜそう感じたのか、引き続いて自分に聞いてあげてみて下さい。すると、もしかすると自分の中には強い他者承認の心(他人から認めてもらいたいという思い)があることに気づくかもしれません。

ではなぜ自分の中に、他者承認を強く求める心があるのか?続けて自分に聞いてあげてみて下さい。

すると、そこには自分に対する自信の無さが現れてくるかもしれません。自信が無いために、他人に認めてもらうことによって安心したい。他人から認められることによって、自分には価値があるんだということを確認したい。

つまり、自分は価値ある存在なんだということを実感したい、信じたい、そういった思いが心の奥底にある。それはつまり表現を変えると、「自分のことを好きになりたい」ということ。

自分の意見や考えに対し、反対意見や批判意見を言われて腹が立ってしまうのは、自分の心の根っこの部分に「自分を好きになりたい」という強烈な思いがあるから。だからこそ、他人からの反対意見や批判によって自分を否定されたり、まるで自分が価値のない人間のように扱われてしまうと、動揺して感情が乱れてしまうのです。

つまり自分の本心は、自分の意見を周りに認めさせたり他人を議論で言い負かすといった表面的なことではなく、純粋に「自分のことを好きになりたいだけ」。

このようにして、あなたが自分自身のカウンセラーとなり、答えを導き出してあげるのです。

または例えばあなたがいつも、他人からの特定の言葉でなぜか感情が乱れてしまう、またはいつも特定の相手と必ず衝突してしまうという時も、あなたの心の中に必ずその理由や原因があります。そんな時も同じく、なぜそうなってしまうのかを自分がカウンセラーになったつもりで、あなた自身に聞いてみてあげて下さい。

自分の感情を否定せず、自分の気持ちをそのまま受け止めてあげる。そして、カウンセラーになったつもりで自分の感情や気持ちを引き出し、掘り下げていってあげる。

すると、必ず自分の本音・本心が見えてくるはずです。

自分に正直に生きる、自分に嘘をつかない生き方をするというのは、自己中心的に身勝手に振る舞うということではありません。単に表面的な願望や衝動的な感情に突き動かされるのではなく、その奥にある自分の本音・自分の本当の願いや気持ちに気づいてあげること。自分の本心が何を望んでいるのかが分からなければ、自分の人生を生きることは決して出来ません。

例えばですが、お金持ちになりたいという人はたくさんいます。お金はとても大事なものです。お金があれば自分の望むものを好きなように買うことも出来るし、様々な不安からも解放されます。お金持ちになりたいという気持ちは、僕もよく分かります。

でもここで、ちょっと考えてもらいたいのです。ここからさらに、自分の気持ちを掘り下げていってもらいたいのです。

なぜ自分は、お金持ちになりたいのか?
単にお金があれば、それでいいのか?
目的は、単に多くのお金を持つことなのか?

きっと、そうではないと思います。なぜ自分はお金持ちになりたいのか?そこを掘り下げていくと、自分の中にある本当の望みが見えてきます。

例えばお金があれば、人生における選択肢が増えますよね。その日を何とか生きるというレベルの生活では、出来ることも必然的に限られてきます。経済的に余裕があれば、お金を出して資格を取る勉強をしたり、学校に行って学ぶことも出来ます。
お金があるというのは、それだけ自己投資をすることが出来るということです。

またお金があれば、家族を十分に養っていくことも出来ます。子供に習い事をさせたり、行きたい学校へ行かせてあげることも出来ます。家族サービスをする方法や手段の数も、お金があるのと無いのとでは、やはり違ってきます。

また単純に、銀行や手元に自分のお金が十分あれば、それだけで安心しますよね。突発的な出費があっても、不安や心配が無い。お金があれば、それだけで単純に生活面も精神面も安定します。

お金持ちになりたい…その気持ちを掘り下げていくと、その向こうに様々な目的が現れてくる。つまり、お金持ちになるというのは目的ではなく、あくまで手段だったということ。お金持ちになるというのが目的ではなく、別の目的や望みを実現するためにお金を稼ぐという手段を選択しているにすぎないのです。

自己投資によって、もっと成長したい
家族に、もっと豊かな生活をさせてやりたい
もっと子供の選択肢を広げてやり、幸せな人生を送らせてやりたい
様々な人生の不安を解消したい

そういった本来の目的を達成するために、お金という一つの手段を選択しているにすぎないのです。つまり自分の望みは、単にお金持ちになることではなかった。自分の望む人生は、別のものだったということが見えてきます。

そして自分の本当の望みが見えてくれば、進むべき方向も変わります。生き方や考え方そのものが、全く変わってきます。また、目的が明確になれば、お金ではなく他の方法でその目的を達成できる道が見えてくるかもしれません。

逆に、自分の本当の望みが分からなければ、自分がどんな人生を歩みたいのか、どんな生き方をしたいのかさえも分からない、まさに人生の迷子に陥っていきます。

あなた自身が自分のカウンセラーとなり、自分の本心を見つけ出してあげてください。そして自分の本心が見えてきたら、今度は
「どうしたら自分の望みが叶えられるのか?」
「どうすれば自分の望む生き方が実現できるのか?」
「自分の望む人生を送るためには、どんな方法があるだろうか?」
というのを考えてみて下さい。

そしてその方法を見つけることが出来たなら、それが出来るかどうかは関係なく、具体的に実行に移して下さい。

でももしかしたら、上手くいかないかもしれません。でも上手くいくかどうかは、やってみないと分かりませんよね。だからどんなことでも、とりあえず取り掛かってみて下さい。まずは、やってみるんです。

やってみてもしダメなら、途中でやめてしまえばいいんです。行動しないと、現実は決して変わることは無いのですから。

 

 

えっ?
自分のやりたいことが分からない?
どんな人生を歩みたいかがイマイチ分からない?

 

それは困りましたね。
う~ん、では次のようにしてください。

突然ですが、あなたは誰かの葬儀に参列したことはありますか?葬儀には、亡くなった人の家族や親族、友人知人など故人を知る人が集まります。そして、亡くなった故人の生前について、自然とみんなで語り始めるものです。
「あの人はこんな人だったね」
「生前にあんなことをしてたな」
「よく、あんなことを言ってたな」
こうやって、故人の人柄や生きてきた人生について、いろいろ話をするものです。

ここで、少し想像力を膨らませてください。想像するのは、あなた自身の葬儀です。

あなたは亡くなってしまいました。(あくまで想像です)
あなたの体は柩(ひつぎ)の中に納められ、あなたの周りには家族や親族・友人知人などが集まっています。あなたの柩の傍では、みんながあなたの生前について、いろいろ話をしています。あなたがどんな人だったか、どんな人柄・性格で、どんなことをして、どんな生き方をして、周りにどんな影響を与え、そしてあなたの人生がどんなものだったのか…

みんなが思い思いの話をしています。そして最期は、みんなに見送られながらあなたは火葬場へと出発していきます。

 

想像してもらえました?
では、あなたの柩を囲んでいる人たち、それは一体どんな人たちが集まっていますか?その人たちは、あなたについてどんな話をしていますか?あなたの人柄、あなたの生き方、あなたの人生…どんな風に語っていますか?

自分が死んだ時、周りの人たちから
「あなたはこんな人だった」
「あなたはこんな人生を生きた」
残された人間から、そう言ってもらいたい言葉というのがあると思います。まさにそれこそが、あなたの中にある「あなたの理想の人生・理想の生き方」です。

どんな人生を歩みたいのかが分からない時には、自分が死んだ時から逆算してみると、意外とすんなり自分の望みや本心が見えてくることもあります。

 

ということで、自分の本心はもう分かった。後は自分を偽らず、正直に生きるだけ。

とは言っても、なかなか自分の思うように生きられないのが人生です。自分の思いを貫き通そうとすれば、時には人とぶつかることも出てきます。そして僕はもちろん、いつどんな時も「自分の思いを押し通せばいい」と言っているわけではありません。

あなたの中にあなたなりの思いがあるように、周りのみんなの中にも同じようにそれぞれの思いが当然あります。仮にあなたの思い、あなたのしたいこと、あなたの実現したい生き方が自分一人で完結するようなことであれば、何も問題はありません。でも現実には、何をするにも何かしら他人が関係してくることが多いのではないでしょうか。

人生の中では、時には他人を優先すべき時も当然あります。場合によっては、相手と自分の意見のどちらか一方に決めなければいけない、といった状況もあると思います。いつどんな時でも自分の思いを100%貫き通す、なんてことは当然できない。

でも、例え自分の思いや気持ちを抑え、周りや相手の意見を全面的に優先してあげるような場合であっても、自分の思いを無視することは絶対にしないでください。

仮に自分の意見が通りそうになかったり、自分の意見が全面的に却下されたからと言って、それで自分の思いを無かったものにしてしまったり、自分の思いを否定するようなことをしてはいけないのです。

たとえ自分の意見が通らなくとも、自分の意見が否定されようとも、それであなたが正しいわけでも間違っているわけでもない。単純に、自分と相手の考え方が違うだけ。たったそれだけのこと。

相手には相手なりの考えがあり、あなたにはあなたなりの考えがある。相手は相手自身の考えを大切にすべきだし、あなたもあなたの考えを大切にすべきなんです。

だから仮に自分の思いや考えが周りから認められなかったとしても、自分の思いは自分でちゃんと気づいてあげないといけない。自分の思いを誤魔化すことなく、きちんと認めてあげる、理解してあげる。

そうやって自分の心に対し、誠実に向き合う。それが、自分の心に正直に生きるということなのです。

大切なのは、単に自己中心的な生き方を貫くことでもなく、自分の思いのままに身勝手に振る舞うことでもなく、自分でちゃんと自分の本心に気づいてあげること。自分の本心に気づき、受け止め、そして自分の気持ちを自分できちんと尊重してあげること。それが自分の心に正直に生きるということです。

自分の本心や本音に気づいてあげられなければ、自分の人生を生きることは決して出来ません。例えばもし、これからあなたが何をやろうとも誰からも批判されないとしたら、あなたは何がしたいですか?誰からも一切反対されないとしたら、あなたは一体何をしますか?どんな人生、どんな生き方をしますか?想像してみてください。きっとそれが、あなたが今やりたいことであり、あなたが望む人生・生き方ではないでしょうか。

もちろん様々なしがらみもあるでしょうし、やりたいことをそのままできるとは限らないと思います。それが出来ない理由はあると思います。では、どうすればそれが出来るようになるか?今の状況をどう変えていけば、それが出来るようになるのか?それを考えてみてください。そして、それを実行してみてください。

 

ということで、今回の話はこれで終わります。次回は、今後あなたが自分の心に正直に生きていくために必要となるマインドについて話していこうと思います。楽しみにしていてください。

ではまた明日、お会いしましょう。

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